主にITエンジニアを客先常駐させるサービス形態である「SES(システムエンジニアリングサービス)」。日本のIT業界に多く見られるが、その闇は深い。SESの闇に斬り込む。
いろんな問題をはらむSESだが、特に看過できないのはSES企業にはびこるダメな営業だ。IT職場にもたらす問題を大きく3つに分けて考えてみたい。
- (1)自社のITエンジニアをマウンティングする
- (2)残念な顧客を助長する
- (3)余計な仕事を増やす
(1)自社のITエンジニアをマウンティングする
最初に取り上げる問題は、営業が自社のITエンジニアを「マウンティング」することだ。権限や立場、自分が持っている情報の豊富さを利用して、ITエンジニアより優位に立とうとする。
営業のマウンティングがはびこる大きな要因は5つある。1つずつ見ていこう。
(i)自社の経営ポリシー不在そもそも、多くのSES企業に経営ポリシーなどない。人を派遣してマージンを取れればそれでよし。1990年代後半のITバブル期に味をしめた経営者はこのビジネスモデルをやめようとしない。とりあえず人を送っておいて、顧客のいいなりで仕事を回していれば一定の稼ぎを得られる。
ある意味ラクでありとてもオイシイので、「とりあえず人を送る」ことしか考えない。経営者も営業も自社のITエンジニアをモノ程度にしか考えないSES企業もある。
(ii)「真の人事部門」不在多くのSES企業に「真の人事部門」は存在しない。採用はいいかげん、まともな評価制度がない。
ではITエンジニアの常駐先や業務内容、評価などは誰が決めるかというと、それは営業だ。なぜか営業が人材配置の権限や裁量を持つ。これがまた厄介な問題を生む。