「あの企業はなぜ、やり方が古いの?」「あの企業はなぜ、郵送を求めるの?」
日本のIT企業と日々やり取りしていると、こんな言葉がメロディーに乗って頭の中を流れる。
「えっ、御社はIT企業ですよね。なのになんでこんな古い仕事のやり方をしているんですか!?」「おかしいな、IT企業に就職したはずなのに、自分はなんで印刷やら押印やら郵送やら、テレアポやらアナログな雑務に追われているんだろう……」
このようにモヤモヤ思っている人は相当数いるのではないか。
筆者もIT企業から「DX(デジタルトランスフォーメーション)」や「働き方改革」をテーマにした講演やアドバイザーの依頼を受けることが少なくないが、かたくなに見積書や請求書の原本を郵送せよと言ってくる企業もあり、「いや、まずそういうところから治しなさいよ」とたびたびけんか……いや、改善の申し入れをしている。非ITの事業会社や行政のほうがよっぽどペーパーレスかつスマートなやり方をしており、驚くこともある(いや、もはや驚かない)。
何ゆえIT企業なのに、いやIT企業に限ってIT環境がイケていないのか。旧態依然とした仕事のやり方を変えようとしないのか。今回はその背景に迫る(もちろん、先進的なやり方を取り入れているIT企業もあることを申し添えておく)。
あなたの会社はどのタイプ?
IT企業なのに、ITを使いこなしていない。その理由は実はいたってシンプルだ。そのような企業はたまたまIT関連の仕事を主軸としているだけ。ITを扱っているだけの「IT風企業」なのである。
最新のクラウドサービスなど、新たなITソリューションを使って仕事をすることだけでなく、業務改善にすら関心がない。そのような企業をIT企業だと思って接したり、まかり間違って入社してしまったりした日には痛い目に遭う。
ではIT風企業とはどんな企業か。4つに分類してみた。
①ITを扱う「営業会社」
まず、ITを扱う「営業会社」だ。いわゆる「ITベンダー」と呼ばれる企業に何かと目立つのがこのタイプ。商社も同様である。たまたまIT商材を扱っている、実質は営業会社である。
そんな会社はIT商材を売ることにしか興味がない。ある意味当然である。営業会社なのだから。
よって、自社の仕事のやり方が古かろうが、ITを活用していなかろうが関係ない。今まで築いてきた、その会社なりの気合・根性型の(または勝手知ったる心地よい)「勝ちパターン」で商材を売れればそれでよいのだ。
営業会社は、トップも役員も部門長もたたき上げの営業担当者だったりする。なおのこと、ITソリューションを活用しようとか、仕事のやり方を仕組みと仕掛けで改善しようとか、そのような発想になりにくい。むしろ苦手だったりする。
こうして、気合・根性と怒号と寝技と、最後は神頼みでとにかく数字を上げる。下手をすれば、無駄な間接業務や事務作業も、気合・根性で残業や休日出勤をして乗り切ろうとするからこれまたタチが悪い。百歩譲って、あなたたちはよくても顧客や取引先などを巻き添えにするのは迷惑だからやめてほしい。そんな体育会系部活動的スタイルが今日も続けられている。