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 過度な成果主義、チャレンジ主義も問題だ。「チャレンジ」を人事評価項目に加えるのは大いに結構だが、総務や経理などの管理部門や当たり前を守るITシステム運用保守のような現場にまでに一律でチャレンジを課すから、次のようにおかしなことになる。

・当たり前を守る仕事が評価されない
・「チャレンジしています」感を出すために、余計な仕事やプロセスを増やす
・それらがあだとなり、当たり前の仕事が軽視されミスやトラブルが多発する

 当たり前を守ることをまずは正しく評価した上で、さらに新たなやり方にチャレンジしたり、改善して無駄な仕事を無くしたりすることを「プラス評価」する。このほうが、オペレーション色の強い組織は正しく機能するしメンバーは健全に成長する。

 最後に最も大事なことを一つ。

 経営者や部門長諸氏に改めて物申す! ITの運用保守など、インフラには黙ってお金を出しなさい。こと、ITインフラにおいては何も起きないことが価値なのである。そこをケチるとたちまちおかしなことになるし、組織の屋台骨がボロボロになる。「あなたたちは、水道インフラや電気インフラに細かな費用対効果を求めたり、買いたたいたりするのですか?」と言いたい。

 筆者がこの連載でも何度も繰り返しているフレーズであるし、経営者に面と向かって言ったこともある。ITインフラは、企業の経営を支える生命線ともいうべき「当たり前」である。正しく評価し、正しく投資し、「攻め」と「守り」がともに正しく機能する組織風土を醸成していきたい。

沢渡 あまね
あまねキャリア 代表/NOKIOO 顧問/なないろのはな 取締役/エイトレッド フェロー
沢渡 あまね 1975年生まれ。業務改善・オフィスコミュニケーション改善士。IT運用エバンジェリスト。大手自動車会社、NTTデータ、大手製薬会社などを経て、2014年秋より現業。企業の業務プロセスやインターナルコミュニケーション改善の講演、アドバイス、執筆活動などを行っている。ユーザー企業のシステム担当、ITベンダー企業のITサービスマネジャー、プロジェクトマネジャー、認証基盤の運用エンジニアを経験。著書に『バリューサイクル・マネジメント~新しい時代へアップデートし続ける仕組みの作り方』(技術評論社)、『IT人材が輝く職場 ダメになる職場』(日経BP)、『ここはウォーターフォール市、アジャイル町 ストーリーで学ぶアジャイルな組織のつくり方』(翔泳社)、『仕事ごっこ』『システムの問題地図』『マネージャーの問題地図』『職場の問題かるた』『職場の問題地図』『業務デザインの発想法』(技術評論社)、『運用☆ちゃんと学ぶ システム運用の基本』『新人ガール ITIL使って業務プロセス改善します!』(C&R研究所)などがある。趣味はダム巡り。(写真出所:あまねキャリア)