「ウチの会社、情報システム(情シス)部門がイケていなくて……」――。管理職や現場の社員のこうした嘆きを、筆者も四六時中耳にしている。
新しいITツールやクラウドサービスを使って仕事をしたくても、決まって情シス部門が待ったをかける。ある者はセキュリティーを理由に、そしてある者はコストを理由にする。中にはせっかく全社導入したTeamsやSlackを最も利用しないのが情シス部門だというケースもある。かたくなにメール、電話、対面でのみコミュニケーションを取る。開いた口が塞がらない。
さりとて情シス部門にも言い分はある。彼ら/彼女たちだけを一方的に責めるのは気の毒だ。保守的な情シス部門、及び腰な情シス担当者。それらを生むのは組織の制度やカルチャーである。
人事評価や給与テーブルが「事務職」扱い
「情シス部門の人材定着率を上げようといろいろ試みているものの、既存の給与テーブルが壁だ」。
ある企業の情シス部門の担当者はこうつぶやく。彼女いわく、その会社では情シス部門は事務職扱い。給与レベルもITエンジニアを採用するにはお寒く、採用や定着に苦労しているという。
給与レベルだけでなく、人事評価の項目や考え方も旧態依然で「事務職然」としていて、IT人材の活躍を妨げている。そんなケースはこの企業に限らず全国で散見される。その例を幾つか挙げよう。