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 DXやイノベーションを掲げるのであれば、こうした調達プロセスや慣習も変えていく、あるいは生産財の調達とサービス利用で分けて設計していく必要がある。そうでないと、DXやイノベーションを生み出す体質にいつまでたってもならないし、サービス産業、ソフトウエア産業も育たない。

情報システム部門はDXを阻害する社内ルールやプロセスに物申すべきだ

 情報システム部門の振る舞いにも大いに問題がある。本来、DXやイノベーションの要かつフロントとなる情報システム部門が経理や購買などの管理部門に正しく進言すべきだ。

「部品の調達じゃないんだからさ……」
「当社の調達ルールや支払規定は、クラウドサービスの利用に即していない。別プロセスを検討してくれ」
「当社がDXやイノベーションをできる体制にしていくためにも、原材料調達とサービス調達は考え方を変えるべきだ」
「そんなんでは、いつまでたってもDXなんてできません……」

 このように社内ルールや業界ルールを前提にし、相手方に押し付ける姿勢ではクラウドサービスを活用したビジネスモデル変革などいつまでたっても実現できない。他社と対等な関係でコラボレーションしトランスフォーメーションする経験機会が奪われるからだ。

  • ・皆がルールに従順。おかしいと思ったこともない
  • ・外を知らない
  • ・面倒臭くて声を上げない
  • ・情報システム部門の社内プレゼンスが低く、管理部門に物申せない
  • ・今まで取引先が従順だった

 製造業型、統制型の調達プロセスをサービス利用にまで適用させてしまっている、あるいは温存してしまっていた背景はさまざまである。理由はどうあれ、DXやイノベーションの妨げになる事実に変わりはない。

 製造業型、大量生産型の「モノづくり」に最適化されたプロセスやマインドは、「コト(サービス&ソフトウエア)づくり」のビジネスモデルととにかく相性が悪い。かみ合わない。ヒエラルキー型意識が強すぎて、異なるプレーヤーとの横連携が苦手。これは致命的である。これからの時代、大手企業もサービス型、ソフトウエア型のプレーヤーと連携して新しいコトを興していかなければ、イノベーションは望み薄だ。

 そのためには、社員のスキルやマインドを変えるための投資も必要である。