今回取り上げる現場の悩みはこちらだ。

そもそも既存システムやIT部門に気を使うのが正しいのか?
最初に根本的な問いかけをしたい。「DX」とは何か?
DXとはデジタルトランスフォーメーションであり、組織変革である。デジタル技術を活用して既存のビジネスモデルや働き方を抜本的に変え、組織の新たな「勝ちパターン」を実現することを意味する。そのためには、破壊的イノベーション、すなわち今までの仕事のやり方やカルチャーをも大胆にスクラップ&ビルドする必要さえある。
そう考えたとき、既存システムや、古い考え方のIT部門に足を引っ張られて前進できないのはいかがなものか。さまつとまではいわないが、細々としたシステム改修の議論を進めても、手に入れられる果実は小さい。それよりも重要なのは「今の仕組みの延長線上で、目指す未来の姿が実現できるか」。ここを議論したほうがよい。
思い切って、既存のシステムは無視して全く新たなサービスをつくり直す。IT部門は放っておいてDX推進部門の進められる範囲でとっとと進めてしまう。このような大胆さも必要ではないか。私たちの取るべき道は、次の3つのうちのいずれかである。
- トップダウンで強制的に変えてしまう
- 民主的な働きかけや育成で中から変える
- そのまま停滞して衰退する
しかしながら、最後の「そのまま停滞して衰退する」はできることなら避けたいであろう。よって、ここでは「トップダウンで強制的に変えてしまう」「民主的な働きかけや育成で中から変える」の2つを詳しく見ていこう。