進捗会議に設計会議に説明会、課題検討会議。多い割に会議で何も決まらない、という組織は少なくありません。会議が、生産性阻害要因になっては本末転倒。会議を有効に運営できるかどうかは、重要成功要因です。新人SEが会議を運営することは少ないかもしれませんが、うまく切り回すためのノウハウを知っておきましょう。次の六つがポイントです。
(1)出席者を吟味する
第一に、出席者を正しく選定することが大事です。「情報を共有するためにチーム全員が出席」「どんな質問が出てもいいように、複数分野の担当者が出席」などとし、関連ない報告を30分間聞かされたり、5分間の質疑のために1時間費やしたりするのはリソースの無駄遣いです。出席者を増やして責任を曖昧にするのではなく、適切な意見を述べ、責任を持って結論を出すなど、会議の目的にきちんと寄与できるメンバーに絞り込んで構成することが、成功への近道です。
(2)出席者の意見を収集しシナリオを想定する
会議の場で「初めて意見を聞く」ことは、なるべく避けましょう。出会い頭の意見の言い合いになると、短時間で結論を出すのは困難です。会議が始まる前に、異論や反論を予想し、調整可能な方向性を想定しておく必要があります。
そのためには、誰がどんな意見を持っているのか、何に責任を負い、どこに関心があるのか、日頃から情報収集します。不明なメンバーがいれば、会議招集の際に、現時点での意見や懸念点を開示頂いてもよいでしょう。
(3)合意形成のための流れを設計しアジェンダとしてまとめる
出席者の関心事や意見を把握したら、合意形成の流れを設計し、アジェンダをまとめます。会議が始まる時に、会議のゴールやそこに至る道のりが共有されていないと、非生産的な無駄話の応酬になります。
その場で議論すべきことと、その場で議論すべきでないことが共有できるようにしておきましょう。良いアジェンダには戦術があります。結論を急ぐ重要なことを優先して冒頭に持ってくるとか、合意しやすい事項を冒頭に並べて協調の雰囲気を醸成するなど、ゴールにたどり着く道筋を整備しておきましょう。
(4)適切な資料を準備する
口頭での説明、よりどころなしの議論は避けましょう。誰もが知っている話の蒸し返しや、瑣末な論点に時間を費やすことになりかねません。口頭で言い切れなくても、主張を資料化しておけば、視覚で共有できますし、提示したエビデンスも残ります。