若手のITエンジニアにとって難易度の高い「顧客」との対話。昨今、企業では経営層による“攻めのIT”への期待から、ユーザー部門が直接ITを管理することが増えています。ITエンジニアは、「事業目線でのIT化の検討」や「ITが苦手なユーザー部門との対話」が一層求められるようになっています。
ユーザー部門との対話において、「相手に理解してもらう」のは思った以上に難しいものです。まず、相手が知らない専門用語を使わないことを意識しましょう。覚えた専門用語は使いたくなりますが、逆効果です。そしてどれだけ意識しても、「自分が知っていることは相手も知っている」と思い込んでしまうものです。
筆者も以前、こんな経験をしたことがあります。顧客企業の現場でWebシステムの操作研修を実施した際、難しい言葉を使わずに説明したつもりでしたが、「ブラウザー」という言葉が分からない人が数人いて「何を言っているのか分からない」と言われました。自分の周りや業界では当たり前の単語でも、外に出れば全く分からない人もいます。相手のことをよく考えて、どのレベルまで掘り下げて話すべきかを決めましょう。
次に、相手の「立場」をよく考慮します。顧客企業の役員に細かいシステムの操作を伝えても仕方ない場合がありますし、現場の担当者に企業戦略や予算の話をしても通じない場合があります。システムの仕様を決めるのに、現場担当者の合意を取って、さらに上司に最終判断を仰ぐのはよくあるケースです。この場合は説明のレベルを変えるべきです。
例えば、ある仕様を実装することによって現場でのシステムの使い勝手が良くなり、生産性が上がるのであれば、現場の人たちには使い勝手が良くなることを説明します。一方その上司には、生産性が上がってコストを削減できることを重点的に説明します。相手によって説明のレベルを変え、それぞれの立場におけるシステム仕様の意図を理解してもらいます。
何を聞きたいのか考える
次のケースではどうでしょうか。ある企業のECサイトを自社が開発し、自分がそのシステム保守を担当しています。