ITエンジニアにとって、ユーザーから必要な情報を聞き出すことは、最も重要な仕事の1つです。しかし、相手が顧客であるユーザー企業の担当者の場合、聞くべきことをきちんと聞き出す、というのはそう簡単ではありません。
聞き出すスキルには、質問の仕方や聞く姿勢などテクニック的なことが多くありますが、特に重要なのは、「相手から話を聞き出すための関係性を作り出すこと」です。筆者は「ランク」という考え方を使って、顧客との関係性を作り出します。
ランクには、主に下記ようなものがあります。
- ●社会的ランク: 社会的なポジション
- ●文脈的ランク: 特定の分野の得意、不得意
- ●心理的ランク: 心理的に申し訳ない/ありがたいと思っている
ランクが高い人から低い人には話を聞き出しやすいのですが、低い人から高い人には話を聞き出しづらいという傾向があります。例えば社内では、社会的なランクが高い部長や課長に対し、新人社員が色々と話を聞き出すのは難しいでしょう。
委託開発に携わるITエンジニアは、顧客から対価をもらって仕事をします。金銭を支払う側と受け取る側では、支払う側である顧客の社会的ランクが上になります。そのままでは話を聞き出しづらいので、どうするか考えていきましょう。
社会的ランクが上でない場合でも、文脈的ランク、心理的ランクといった他のランクで顧客よりも上に立ち、話を聞き出しやすい関係を築けます。
例えば、AI(人工知能)関連の案件を担当する場合、AIの深い知見があれば、文脈的ランクで上に立って顧客と対等に話ができます。得意とする分野を多く持っていれば、いろんな顧客から自然と話しを聞き出しやすくなります。多くの知識を身に付けることは、コミュニケーション面でも重要になるのです。