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 システム開発プロジェクトで、作業の進捗遅れが発生することは残念ながら少なくありません。大事なのは、遅れの原因を突き止め、リカバリーの手を打つことです。遅れの原因分析に、ロジカルシンキングが役立ちます。

 ロジカルシンキングで使われる主要なツールにロジックツリーがあります。ロジックツリーには様々な種類のものがあり、それぞれ性質も使い方も異なります。 そして課題分析と解決に使うことのできるロジックツリーの1つが、「因果ネットワーク」です。

 因果ネットワークは、問題事象の本質的な原因を分析するためのもので、原因のさらにその原因という具合に、探索を深めることでツリー構造を形成します。なお、正確にはツリー構造よりも自由度の高いネットワーク構造となります。

 ここでは、システム開発プロジェクトにおける設計の遅れを例に、その原因を分析していきます。SEが設計遅れの原因を調べてみたところ次のような事情が分かってきました。プロジェクトマネジャー(PM)へ次のように報告しています。

この遅延が起きた原因は、仕様の追加確認が発生しその作業に想定以上の時間がかかったためです。その原因は、ユーザーへのヒアリング時に仕様確認が十分できなかったためです。その原因はヒアリングに臨む前に読んでもらった事前配布資料の内容を誤解していたためでした。さらにその原因は、事前配布資料に説明不足の箇所があったためでした。

因果ネットワークによる設計遅れの原因分析
因果ネットワークによる設計遅れの原因分析
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 「なぜなぜ5回」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、問題の原因について「なぜ」を繰り返していくことで、根本原因にたどり着く。その根本原因を解消すれば、抜本的な解決につながるということです。製造現場の品質改善活動の基本手法の1つです。

 さて、この事例についても、「なぜ」を繰返して根本原因にたどり着きました。根本原因は事前配布資料の説明不足でした。この解消のためには、資料の説明を修正すればよいということになります。