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 「実質的なワンバンクを目指す」。みずほフィナンシャルグループ(FG)の塚本隆史社長(当時)は5月23日にこう宣言し、旧みずほ銀行、旧みずほコーポレート銀行、みずほ信託銀行の情報システムを刷新・統合すると決めた。みずほFGは翌2012年にプロジェクトを開始。開発完了を2度延期したものの完成にこぎ着け、2018年6月11日から新たな勘定系システム「MINORI」への移行を始めた。

 移行を終えるのは2019年度上期を予定しており、投資額は4000億円を超える。2度の大規模システム障害という痛手を乗り越えられるか。みずほFGは正念場を迎えている。

ジョブズ氏が死去、一時代が終焉

 東日本大震災はみずほ銀行だけでなく、あらゆる業界のシステム基盤に影響を与えた。電力不足による計画停電でシステムが動かなくなり、業務継続に支障をきたす状況に追い込まれた。様々な企業が事業継続計画(BCP)を見直し、停電対策が手厚いデータセンターへのシステム移転を進めた。

 2011年はIT業界で一時代の終りを迎えた年でもある。米アップルの共同創業者であるスティーブ・ジョブズ前CEO(最高経営責任者)が10月に死去した。同社が2007年に投入したスマートフォン「iPhone」は消費者のライフスタイルを一変し、様々な業界の勢力図を塗り替えた。

 海外ではiPhoneの製造を引き受ける形で、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業といったメガEMS(電子機器の受託製造サービス)が躍進した。国内ではiPhoneの取り扱いをいち早く始めたソフトバンクがシェアを伸ばし、携帯電話業界はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3強体制に突入した。

 iPhoneの誕生から10年超が経ち、スマホは様々なサービスを生み出した。筆頭はFacebookやInstagram、TwitterといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)だろう。ライドシェア(相乗り)大手の米ウーバーテクノロジーズはスマホを駆使し、簡単に車を呼べるようにした。自動車業界で「所有」から「利用」への流れを決定付けたと言える。