北三陸を舞台にしたテレビドラマ「あまちゃん」発の「じぇじぇじぇ」ブーム。そして2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催決定――。東日本大震災以来続いていた沈滞ムードからようやく脱した2013年は、膨大なデータを分析・活用する「ビッグデータ」の盛り上がりが最高潮に達した。
ビッグデータに言及した日経コンピュータの記事本数は2013年に196本。2011年の36本、2012年の131本から大幅に増えた。2013年の年初、1月10日号の特集「ビッグデータで挑め」は花王やDeNA、三菱重工業、リクルートなどがビッグデータの活用に取り組み、一部は成果を出し始めたと伝えている。
5月には国会で共通番号法案が可決・成立し、行政でも納税と社会保障の領域を中心にビッグデータを活用していく方向性が明確になった。
一方でこの年は、ビッグデータの負の側面が図らずも明らかになった年でもあった。6月、日立製作所が東日本旅客鉄道(JR東日本)のICカード「Suica」の乗降履歴を使った分析サービスを提供すると発表。JR東日本がSuicaの利用履歴というビッグデータを、パーソナルデータとひも付けた形で外部企業に販売していたことが広く知れ渡り論争を巻き起こした。
結局JR東日本はSuicaの利用履歴の外部提供を中止。JR東日本の担当者は日経コンピュータ10月17日号特集「Suica履歴販売は何を誤ったのか」で、「自社から情報開示しなかった点は反省しているし、オプトアウトを広く周知しなかった点も誤りだった」と勇み足があったことを認めた。
個人情報の扱いが論議になったケースは他にもある。同年6月には米政府がテロ対策の名目で、個人の通話記録やSNSを始めとするインターネット上の情報を大規模に収集していた事実が発覚。米中央情報局(CIA)元職員のエドワード・スノーデン氏が実名で証言したこともあり国内外に衝撃を与えた。国内ではSuica利用履歴販売問題の発覚と時期が近く、個人情報を含むビッグデータの扱いに対する人々の不安が増す結果となった。