Case1 省エネ給湯器
低周波音へのリスクを指摘
断定することはできないものの、関連性は否定できない――。「エネファーム」など家庭用コージェネレーションシステム(以下、家庭用コジェネ)の運転音によって、不眠などの健康障害を発症したとする事案の検証結果だ。消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)が2017年12月、報告書にまとめた〔写真1〕。
同様の訴えは「エコキュート」で知られるヒートポンプ給湯器でも上がっている。消費者事故調は14年12月に出した報告書で「運転音が申し出者の健康障害の発生に関与していると考えられる」と判断した。
各報告書によれば、省エネ給湯器の運転音に関して消費者庁に寄せられた申し出や相談の件数は、家庭用コジェネで73件、ヒートポンプ給湯器で112件に達した〔図1〕。「隣家や自宅にある省エネ給湯器の運転音で、不眠や頭痛、耳鳴りなどを発症した」といった内容が目立っている〔図2〕。
機器タイプ | 家庭用コジェネ | 家庭用ヒートポンプ給湯器 |
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事案件数 | 73件(燃料電池コジェネ:58件、ガスエンジンコジェネ:15件) | 112件 |
調査対象者 | 調査対象者の状況 | 自宅寝室壁までの距離(m) | 同居人の発症状況 | |||
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性別(年齢) | 訴えている症状 | 設置時期 | 稼働開始から発症までの期間 | 発症有り(人) | 発症なし(人) | |
男(50) | 不眠、頭痛、耳鳴り、倦怠感、吐き気、胃痛、下痢、便秘 | 2014年11月 | 1カ月未満 | 2 | 0 | 4 |
女(40) | 耳鳴り、不眠、低音障害型難聴 | 2014年10月 | 引越し後1カ月未満 | 3.5 | 0 | 3 |
男(70) | 不眠 | 2014年9月 | 1カ月後 | 7 | 0 | 1 |
男(40) | 不安感、イライラ、不眠、胸の圧迫感、歯の食いしばり、筋肉の緊張 | 2013年7月 | 2カ月後 | 3 | 0 | 3 |
女(30) | 頭痛、不眠、うつ | 2013年 | 引越し後1カ月未満 | 5.8 | 1 | 1 |
女(60) | めまい、頭痛、不眠 | 2012年12月 | 9カ月後 | 4 | 0 | 5 |
男(60) | 耳鳴り | 2012年6月 | 3カ月後 | 7 | 0 | 1 |
女(40) | 不眠、頭痛、吐き気、頚椎痛、歯の食いしばり、喘息、イライラ、脱毛 | 2011年7月 | 3カ月後 | 15 | 0 | 1 |
女(50) | 不眠、動悸(どうき)、体重減少、不安感、イライラ、胸の圧迫感 | 2010年12月 | 1カ月未満 | 6 | 1 | 1 |
女(40) | 不眠、頭痛、胸の圧迫感 | 2010年8月 | 1カ月未満 | 10 | 1 | 2 |