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 建物をテロから守るための公的な基準やガイドラインは日本国内では発行されていない。一方、海外ではさまざまなガイドラインなどが整備されている。

 例えば米国では、連邦緊急事態管理庁(FEMA)が2003年に、テロに備えた建物を構築するための手順を示した「FEMA 427, Primer for Design of Commercial Buildings to Mitigate Terrorist Attacks」を作成した。この“設計の手引き”を参考にすれば、民間の新築ビルを対象にしたテロ対策を実践できる。

 建物に対するテロのなかでも、構造上のリスクが高くなるのは大量の爆薬を積んだ車両による攻撃だ。前述の設計の手引書でも、このリスクへの備えを検討するが最も重要だと説く。そして、爆薬を積んだ車両テロに建物側で備えられる視点として、3つの項目を挙げている。

爆薬を積んだ車両によるテロ攻撃のイメージ。爆発による衝撃波は半球状に超音速で広がる。車両が最も建物に近づける箇所が攻撃地点となる(出所:FEMA)
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爆薬を積んだ車両によるテロ攻撃のイメージ。爆発による衝撃波は半球状に超音速で広がる。車両が最も建物に近づける箇所が攻撃地点となる(出所:FEMA)