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 「異能」ともいえる際立った能力や実績を持ち、周りから一目置かれるエンジニアの素顔に迫る。今月は、NTTコミュニケーションズでクラウドサービスを開発しているネットワークエンジニアの川上雄也氏。「日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ(JANOG)」などのコミュニティーでも目立った活躍をしている。今回は、転職直前で思いとどまってNTTコミュニケーションズに残った理由を中心に聞いた。なお、同氏はNTTグループの組織見直しにより7月1日付けでNTT Ltd. Groupに所属が変わったが、引き続き同じ業務を担当している。

(聞き手は大森 敏行=日経 xTECH/日経NETWORK)


 2011年にNTTコミュニケーションズに入社しました。その後すぐに関連企業のインターネットマルチフィードに出向し、2017年8月にNTTコミュニケーションズに戻りました。戻ってからは2年弱になります。

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 今はエンタープライズ向けのクラウドサービス「Enterprise Cloud 2.0」のネットワーク基盤を開発しています。このサービスが外資系の大手クラウドサービスと異なる点は、エンタープライズユーザーに特化している点です。顧客のオンプレミスの環境をそのままクラウドの上に持ってくることができ、それをオンデマンドに拡張できます。

 レイヤー2のイーサネットのセグメントがそのままクラウドの上に存在しているのです。顧客が社内LANを構築するときに書くネットワーク図の構成を、そのままクラウドの上に再現できることを目指しています。

 自分は開発チームの中でSDN(Software Defined Network)を担当しています。SDNは「EVPN-VXLAN」という技術を使って実現しています。EVPNはイーサネットVPNを意味しており、コントロールプレーンに相当します。データプレーンにVXLANを利用します。

 IPのバックボーン越しに、オーバーレイでレイヤー2のセグメントを作るのです。顧客が持っているリソースの場所に応じて、動的にVTEP(Virtual Tunnel End Point)というトンネルのエンドポイントを設定し、EVPN-VXLANを使ってレイヤー2で接続します。

 これにより、顧客がクラウド側に持つリソース(仮想マシン、ベアメタルサーバー、ストレージ、インターネットゲートウエイ、クローズドなVPN網への接続など)とオンプレミスのコロケーションをつなぎます。これらは実際にはすべて抽象化されています。顧客にはネットワーク図通りの構成に見えますが、実際には裏で様々なリソースをまたがってダイナミックに構築されています。

 Enterprise Cloud 2.0の大きな特徴は、マルチキャストをサポートしている点です。他の大手のクラウドサービスでは、マルチキャストをサポートしないのが普通です。他社のサービスでは、顧客側のシステムやアプリケーションをクラウドネイティブに作り変えて最適化してもらうやり方を採っています。

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