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独自開発は陳腐化のリスクも

 IoT住宅のシステムとしてミサワホームが提供するのは、住宅内に設置する汎用機器やセンサー、ホームゲートウェイ、クラウドサーバーを組み合わせたものだ。これらをまとめて「リンクゲイツプラットフォーム」と呼んでいる〔図2〕。

〔図2〕リンクゲイツの概要(出所:ミサワホーム)
〔図2〕リンクゲイツの概要(出所:ミサワホーム)
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 中核を担うデバイスは、リンクゲイツホームゲートウェイだ〔写真4〕。センサー情報などを集積してクラウドサーバーとやり取りする役割がある。端末自体はミサワホームが独自に開発したもので、LinuxベースのOS(基本ソフト)にOSGi(open service gateway initiative)を採用した。

〔写真4〕モデルハウスに設置したリングゲイツのホームゲートウェイ端末(黒の端末)。上の壁に設置した白い端末は、電動シャッターや電気錠などをコントロールするホームオートメンション(HA)システムと接続するためのアダプター。JEM-A端子を搭載した設備とリンクゲイツを接続する。実験用のモデルのため製品版とは若干異なる(撮影:安井 功)
〔写真4〕モデルハウスに設置したリングゲイツのホームゲートウェイ端末(黒の端末)。上の壁に設置した白い端末は、電動シャッターや電気錠などをコントロールするホームオートメンション(HA)システムと接続するためのアダプター。JEM-A端子を搭載した設備とリンクゲイツを接続する。実験用のモデルのため製品版とは若干異なる(撮影:安井 功)
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 OSGiは様々なサービスを実行する共通プラットフォームで、多様なアプリケーションを追加できる特徴を持つ。スマートフォンのアプリのように、クラウドサーバーから居住者が必要なアプリをダウンロードして利用するといった使い方も可能だ。調達開発部の後藤伸希主幹は「無料アプリだけでなく、有料アプリをサーバーからダウンロードできるようにするといった使い方もある」と話す。

 端末を独自開発したことについて、石塚部長はこう振り返った。「開発当初は海外の端末を採用したり、オープンサービスを利用することも検討した。だが、自ら住宅に関わるサービスを提供する場合、独自に開発したものをベースにした方が変化に柔軟に対応できるという結論に至った」

 そのため、ホームゲートウェイの開発では、拡張性を重視した。接続したい機器やセンサーが増えた場合に備えて、API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を用意している。

 現状では、ホームゲートウェイはスマート分電盤や電気錠、燃料電池、太陽光パネルなどの機器との連携が可能だ。通信プロトコルにはエコーネット・ライトなどを採用した。ホームゲートウェイに接続した機器のデータはクラウドサーバーに送って分析する。そして、その結果をホームゲートウェイに戻し、機器の自動制御で活用するのだ。

 電気やガス、水道といったエネルギーの利用情報も取得できるように、ホームゲートウェイと連携している。

 温湿度の測定や窓の開閉の検知には、小型のセンサーを採用した。無線通信技術のEnOcean(エンオーシャン)を搭載したものだ。わずかな光で発電して利用できる〔写真5、6〕。

〔写真5〕小型の温湿度センサー。僅かな光で発電して利用できるセンサーを採用した。サイズは、幅が約80mm、奥行きが約24mm、高さが約12mmと小さい。データは無線で送信する。無線通信技術はEnOcean(エンオーシャン)だ(撮影:安井 功)
〔写真5〕小型の温湿度センサー。僅かな光で発電して利用できるセンサーを採用した。サイズは、幅が約80mm、奥行きが約24mm、高さが約12mmと小さい。データは無線で送信する。無線通信技術はEnOcean(エンオーシャン)だ(撮影:安井 功)
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〔写真6〕掃き出しサッシの上部に、小型の開閉センサーを取り付けている。サッシの開閉状態も確認可能だ。センサーは温湿度センサーと同じEnOceanのタイプ(撮影:安井 功)
〔写真6〕掃き出しサッシの上部に、小型の開閉センサーを取り付けている。サッシの開閉状態も確認可能だ。センサーは温湿度センサーと同じEnOceanのタイプ(撮影:安井 功)
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 ただ、独自開発には悩ましい点もある。大手IT企業などの台頭はその1つだ。「米グーグルなどが日本のIoT住宅市場に参入してきた場合、独自開発のIoT住宅は陳腐化してしまうリスクがある」と石塚部長は打ち明ける。そしてこう続けた。「だからといって、オープンなシステムを採用してしまうと、住宅会社として提供したい機能やサービスが用意できない危惧も出てくる」。例えば、電機メーカーがそのシステムとの連携に対応してくれなければ、その家電製品を使ったサービスの提供ができないというわけだ。

 同社は状況を常に確認しながら、独自にIoT住宅の開発を続けるか否かを検討する方針だ。