全3522文字
PR

横の連携なくして普及なし

 第1次から3次までのブームは、いずれも本格的な普及には至らなかった。果たして第4次ブームとなるIoT住宅は本格的に普及するのだろうか。

 「さまざまな課題がある」と指摘する吉田主任研究員は、その1つとして、IoT機器の連携機能を例に上げた。

 スマートフォン(スマホ)を使って家電機器を制御できる仕組みは既にいくつも登場している。例えば、フランスのネタトモ(NETATMO)の気象センサーは、スマホで温度や湿度の情報をリアルタイムに表示可能だ。オランダのフィリップス(PHILIPS)のLED照明システム「ヒュー」なら、スマホからオンオフを制御したり、色を変えたりもできる。

 だが、これらはIoT機器とクラウドサーバーとの間での1対1での連携だ。気象センサーとLED照明を連携するといった機器同士での横の連携は、途端に困難になる。この連携がスムーズにできなければ、居住者にとって付加価値が高いものにはならないというわけだ。

 この横連携での失敗を、第3次ブームの「スマートハウス」を普及させる際に住宅業界は経験している。

〔写真2〕大和ハウス工業は2010年に、独自のHEMS「D-HEMS」を採用したスマートハウスのモデルハウスを建てていた。写真は2010年に撮影したもの(撮影:安井 功)
〔写真2〕大和ハウス工業は2010年に、独自のHEMS「D-HEMS」を採用したスマートハウスのモデルハウスを建てていた。写真は2010年に撮影したもの(撮影:安井 功)
[画像のクリックで拡大表示]
〔写真3〕大和ハウス工業の独自HEMS「D-HEMS」の画面。写真は2010年に撮影したもの(撮影:安井 功)
〔写真3〕大和ハウス工業の独自HEMS「D-HEMS」の画面。写真は2010年に撮影したもの(撮影:安井 功)
[画像のクリックで拡大表示]

 スマートハウスでは、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を通じて分電盤や蓄電池、エアコン、給湯器などをつなぐ〔写真2、3〕。連携するために、標準プロトコル(通信手順)の「エコーネット」を使用することにしていた。だが、単純に機器をつなぐだけでは住宅に付加価値を与えるのが難しいと分かった。

 そこで、家電製品などもつなげるようにしてサービスの幅を広げることを検討したものの、これが難航した。吉田主任研究員は「家電メーカーが基本的に他社製品とつながるのを嫌がっていたのが理由の1つだ」と振り返る。最終的に、家電メーカーの同意を得て簡易版の「エコーネット・ライト」を開発して普及を目指した。現在はエコーネット・ライトを搭載した機器も増えたが、爆発的な普及には至っていない。

 結局、住宅に十分な付加価値を与えることができず、建て主に訴求できないままブームが去ったというわけだ。