これからの高齢化社会で、住宅に求められる機能とは何か。その1つは間違いなく、在宅介護の仕組みだろう。
どんなに人工知能(AI)やロボットの進化が早くても、高齢者の世話ができるのは当面、人間だけだ。介護の現場では、テクノロジーで解決できる課題は限られている。それでも介護する側もされる側も、少しでも負担を軽くしたいものだ。日本が抱える喫緊の課題といえる。もはや誰も他人事とはいえない。
高齢者のなかには住み慣れた家や地域で、ゆっくりと余生を過ごしたいと考えている人が大勢いる。介護施設には入りたくない人もいるし、そもそも施設の数には限りがある。費用もかかる。
介護するうえで重要なのは、高齢者一人ひとり異なる体調や行動、症状などを、まずは正しく理解すること。しかし、これが相当難しい。ずっと付き添って見ているわけにもいかないからだ。特に、単身で暮らす高齢者の様子を、どうやって見守ればいいのか。ここにIoT(インターネット・オブ・シングズ)を生かす実践的な試みが始まっている。
高齢者の行動パターンを知ることが第一歩
1日の大半の時間を自宅で過ごす高齢者が24時間365日、どんな生活を送っているのか。これが正しく分からないと、認知症なのかどうかなども診断しにくい。そこで最近は、ホームセキュリティを提供するセコムやALSOK(綜合警備保障)などが相次いで、高齢者の見守りサービスを拡充してきている。
カギとなるのが、高齢者の動きや室内の様子を監視するセンサーだ。ホームセキュリティは、IoTという言葉が生まれるずっと昔から、家庭内にセンサーを備え付けてきた先駆的なサービスである。
そして今、IoT家電などを提供するメーカーも様々なセンサーを開発し、高齢者の見守りに乗り出している。代表例がパナソニックの「エアコンみまもりサービス」である。