最近話題のブロックチェーンではどうか?
AIの調査では、読者の閲覧状況が大きく変動した後の結果を見ることができた。AIはここ1~2年、新聞やウェブのニュースを賑わせており、バズワードからキーワードに脱した感がある。それでは、昨今話題になることが多くなった言葉ではどうなっているだろうか。そうした言葉の代表例として、ブロックチェーンの調査結果を見てみよう。
図3は、「ブロックチェーン」という言葉がタイトルに入っている記事に対する読者の閲覧状況を「職種」別に見た結果である。前出のAIでの調査結果と同じく、職種の属性の中から、閲覧度合の変化が大きなところと、ブロックチェーンの要素技術開発に関わる「研究・開発」、そしてブロックチェーンを使ったシステムの開発に関わる「情報処理・情報システム」を載せている。
この図をみると、2017年秋ごろから「研究・開発」と「情報処理・情報システム」の低下が見られ、同時にブロックチェーンの使い手に相当する属性での上昇が見られる。中でも、「専門職(医療関連)」におけるブロックチェーンへの関心度の高まりが顕著。カルテや診断データといった個人情報管理に、ブロックチェーンを活用しようという姿勢が強まってきたように見える。なお、「経営者・役員」の変化度合は緩やかであり、まだ投資のフェーズには至っていないようだ。
次に、ブロックチェーンについて「業種」の属性で調査した結果を見てみよう。ここでも、業種の属性の中から閲覧度合の変化が大きなところ、そしてAIの要素技術やシステムの開発に関わる「情報処理、SI、ソフトウエア」を入れている。
上図を見ると、ブロックチェーンに対する「食品、医薬、化粧品」と「医療」の業種の注目度が急速に高まりつつあることが分かる。食の安全や、医療関連データ管理のセキュリティーを高めることに、ブロックチェーンを活用しようとする動きが出てきたようだ。
現在、ブロックチェーンの最大の活用先は仮想通貨である。上図には、仮想通貨の影響を大きく受けそうな業種「金融・証券・保険」の変化度合も入れている。ただ、「金融・証券・保険」での数値の変動はほとんど見られなかった。「金融・証券・保険」業界のビジネスパーソンにとって、「ブロックチェーン」という言葉は既に目新しい言葉ではなくなったことを示しているのだろう。
今回、ほんの一部だが、日経BP総研が持つキーワードを見極める術を紹介した。AIやブロックチェーン以外の気になる言葉についても、そして今回紹介した以外の職種や業種などでも調査している。キーワードは「生き物」なので、現在注目が集まるキーワードを取り巻く状況が今後急激に変わったり、新たなキーワード候補が浮上したりすると思われる。こうしたキーワードにまつわる状況を、本コラムでいずれまた読者の皆さんに紹介していく予定だ。