女性活躍を推進する動きが高まっている。出産しても離職せずに働く女性が増え、長らく「M字カーブ」を描いていた女性の労働力率の特徴がこの数年薄れてきた。女性を役員や管理職に登用する企業も、歩みはゆっくりではあるが少しずつ増えている。

仕事と育児の両立を実現させる制度・環境が改善され、子どもを持つ母親の声が反映されるようになってきていること、決裁権のある職位に就く女性が増えることは、男性だけの視点で物事が決まっていた時代と比べ、より健全な企業経営への道のりとしても大切なことである。

 しかし、本当に活躍する女性を増やすには、今のまま「推進するだけ」では不安が残る。「女性の健康は、男性とは違って特有な面がある」という事実が、経営者にも管理職にも、当の働き手である女性にも十分に理解されていないのだ。それによって、適切な対処がされないままに健康を損ない、職場を離脱してしまう女性が増えはしないかと心配する。

 いまの学校教育では、性教育は実施されても女性ホルモンの影響がどんなところに及ぶのか、月経のトラブルがあったらどうすればいいのか、妊娠はいつまで先送りしていいのか、更年期の症状を軽くする方法があるのかなどの知識は教えてくれない。母親も知らないのだから、家庭での教育にも期待はできない。

 働く女性が少ない時代は大きな問題にはならなかったが、これからは違う。女性ホルモンの基礎知識を持たないことが、女性の仕事や生活のパフォーマンスを下げ、経済的にも大きな損失になるのだ。このことが近年の研究から明らかになってきている。

図1 ヘルスリテラシー<sup>注1)</sup>の高い人は、低い人に比べてPMSや月経痛などの症状がある際の仕事のパフォーマンスが高い
図1 ヘルスリテラシー注1)の高い人は、低い人に比べてPMSや月経痛などの症状がある際の仕事のパフォーマンスが高い
(出所:日本医療政策機構「働く女性の健康増進に関する調査2018」)
[画像のクリックで拡大表示]

注1)ヘルスリテラシーとは、個人が健康を推進・維持するために必要な情報にアクセスし、理解し、活用する能力のこと

 実際、自分の体のことを「知らない」ために有能な女性が退職を決めてしまったり、昇進を辞退したり、職場の人間関係が悪くなったりして、仕事の能率が落ちてしまうことがある。それを避けるために、まず知っておくべきキーワードは、(1)月経前症候群(PMS)、(2)月経痛、(3)更年期、(4)不妊治療である。それぞれについて説明しよう。