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2:大企業の苦悩と模索

 スタートアップの台頭に押される形で、大企業は自らの立ち位置を模索している。既存の顧客へのチャネルや販売網などにおいて大きな力はあるものの、潜在市場の目利き、開発資金の柔軟性、機動力においてスタートアップ企業に負けるのではないかという危機感がある。カーシェアや民泊など破壊的なビジネスモデルを持つスタートアップ企業の台頭で、既存事業が脅かされる例は少なくない。

 試みの1つは、自らの事業を再定義しようという動き。トヨタ自動車は2018年のCESで「新たなモビリティサービス」を提供する企業になると宣言し、専用の次世代電気自動車(EV)として「e-Palette Concept」を披露した。

 別の試みとして、既存事業とは異なる方向性の製品開発に取り組む「ラボ」の動きがある。いわば社内スタートアップ的な取り組みであり、製品の開発、生産、流通をゼロベースで再構築しようという動きだ。

 CES 2019では米国の大手家電メーカーであるワールプール(Whirlpool)が「WLABS」、米GEアプライアンス(GE Appliances)は「First Build」の成果を見せていた。いずれも、エンジニアやデザイナーなど社外のリソースを積極的に取り入れるオープンな開発体制をとっているのが特徴である。

米ワールプールは社内ラボ「WLABS」の成果を展示
米ワールプールは社内ラボ「WLABS」の成果を展示
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