日経アーキテクチュアの人気連載をベースにした書籍「プレモダン建築巡礼」が本日(2018年4月23日)発売されます。同書の巻頭を飾る井上章一氏(国際日本文化研究センター教授)と磯達雄氏(建築ライター)による爆笑対談をどうぞ。
今日の対談は「戦後建築を理解するために知っておくべき明治~終戦の建築家10人」というお題です。お2人が頭の中に思い浮かべた建築家で、一番古い生まれの方から挙げていってもらえますか。最初は井上さんからお願いします。
井上 まずは、ジョサイア・コンドル(1852~1920年)ですね。
磯 僕も最初はコンドルを挙げようと思っていました。
井上 コンドルはね、現代に響くところがあると思うんです。というのは、彼は明治時代にたぶん唯一、一般人に名前を知られていた建築家なんですよ。
ジョサイア・コンドル(Josiah Conder)
日本を愛した英国人建築家
明治維新後、日本に本格的な洋風建築を普及させるべく、その人材を育てるために設けられたのが工部大学校の造家学科(現在の東京大学建築学科)。その教師として英国から招かれたのがコンドルだった。辰野金吾をはじめとした多くの建築家を育て、日本建築の父あるいは母とも称される。建築家としても明治政府からの依頼で帝室博物館や鹿鳴館などを設計。大学教師を辞してからは三菱の顧問となり、三菱一号館などの事務所建築や邸宅などを手掛けた。私生活では日本人と結婚。河鍋暁斎の絵や生け花など、日本文化をこよなく愛して、これを紹介する本も執筆した。そして生涯を日本で終える。墓は東京の護国寺にある。