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 日経アーキテクチュアが4月23日に発刊した書籍「プレモダン建築巡礼」から、いくつかの記事をより抜いてご覧いただきます。今回は「擬洋風」の名手、堀江佐吉の設計で1907年(明治40年)に竣工した旧津島家住宅(現・斜陽館)。作家・太宰治の生家です。書籍に収録していないオマケ写真も併せてどうぞ!

所在地=青森県五所川原市金木町朝日山412-1 設計=堀江佐吉 竣工=1907年(明治40年) 交通=津軽鉄道金木駅下車、徒歩5分(写真:磯 達雄)
所在地=青森県五所川原市金木町朝日山412-1 設計=堀江佐吉 竣工=1907年(明治40年) 交通=津軽鉄道金木駅下車、徒歩5分(写真:磯 達雄)
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 東北新幹線を終点の新青森駅で降り、そこからJR在来線で1時間かけて五所川原へ。さらに津軽鉄道に乗り換えて約30分で金木(かなぎ)に着く。そこに太宰治が生まれた家、斜陽館がある。

 レンガ塀に囲まれた建物は、入母屋造りの豪邸だ。竣工は1907年(明治40年)。建て主は太宰の父親にあたる津島源右衛門である。源右衛門はこの地方の大地主で、衆議院議員や貴族院議員も務めた。

 源右衛門は1923年に没し、家は太宰の兄の文治が引き継ぐ。文治もまた、衆議院議員や青森県知事を務めた有力者だったが、戦後の農地改革ですべての土地を手放すことになり、この家も売ってしまう。旅館として使われていた時期を経て、現在は市の所有物となり、太宰治記念館「斜陽館」として公開されている。

 玄関を入ると、幅の広い土間が続き、その奧には蔵がある。土間に面して、囲炉裏のある座敷や吹き抜けの板の間などが並ぶ構成は、伝統的な商家のつくりだ。

 違うのは、玄関脇にカウンターを備えた小部屋があること。津島家では金融業も営んでおり、そのための部屋だ。そこから住宅とは思えない豪華な階段を上がると、2階には7つの和室と1つの洋室がある。この時代の邸宅は、椅子とテーブルのセットが置かれた洋室なのに天井は和風の格天井だったりと、奇妙な和洋の混交があったりするものだが、この住宅は和と洋がゾーンできっちりと分けられ、混ざることはない。そこに設計者の意識の高さが感じられる。