日経アーキテクチュアが4月23日に発刊した書籍「プレモダン建築巡礼」から、いくつかの記事をより抜いてご覧いただきます。今回は米国出身の建築家、ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計で大正11年に建てられた日本基督教団大阪教会。ヴォーリズは宣教師として来日。近江兄弟社を設立して塗り薬「メンソレータム」を製造・販売した。え、それってどういうこと? ヴォーリズって何者?
大阪の中心部は1945年の大空襲でほとんどが焼失した。しかし、奇跡的に焼失を免れたエリアもある。淀川の南側、肥後橋の西辺りもその1つだ。ここを歩くとチラリチラリと戦前の建物を目にすることができる。日本基督教団大阪教会はそうした街並みのなかにある。
この教会は米国から来た宣教師のゴルドンが1874年に大阪で始めた梅本町公会を前身とする。創立年は1874年というから、日本におけるプロテスタント系教会のなかでも最も長い歴史を持つものの1つだ。
現在の教会は、1922年に建てられた。設計したのは米国出身の建築家、ウィリアム・メレル・ヴォーリズである。1階は鉄筋コンクリートと鉄骨の併用、2階はレンガ造に木造の屋根を架けている。1995年の阪神淡路大震災では大きな損害を受けたが、すぐに復旧した。
建物は本体の脇に塔が付く構成。前面道路から見上げると、レンガ壁のざらりとしたテクスチャーに目を奪われる。そして、その中央には見事なバラ窓が取られている。
入り口の扉を開けると玄関ホールで、左右両側に分かれた階段を2階に上がると、礼拝堂になっている。
中に入ると、両側に連続する大きな半円アーチが目を引く。正面にもアーチがあり、それがプロセニアム形式の舞台のようだ。並んでいるベンチも弧を描いており、アーチと調和して美しい。