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 長らく“安定市場”と目されている国内家電市場。ここに積極的な展開を仕掛け、シェア拡大を試みているのが生活日用品メーカー大手のアイリスオーヤマだ。2017年4月に家庭用エアコンを発売し、大型白物家電事業に参入した。次の矢として、銀イオンを使った除菌機能と温水による洗濯機能を搭載したドラム式洗濯機「HD81AR」を2019年10月10日に発売すると発表した。一般には「洗濯乾燥機」が多いドラム式だが、同製品は乾燥機能を搭載しない「洗濯機」である。参考価格は12万8000円(税別)という。

アイリスオーヤマのドラム式洗濯機「HD81AR」
アイリスオーヤマのドラム式洗濯機「HD81AR」
Ag+(銀イオン)を含んだ洗濯水・すすぎ水で雑菌の繁殖を抑制する「Ag+除菌システム」と、温水ヒーターによって約60℃と約40℃の温水で洗濯できる「温水コース」を搭載しているのが特徴。2019年10月10日に発売する。写真は右から同社 家電事業部 統括事業部長の石垣達也氏、同社 執行役員 家電開発部部長の原英克氏、同社 家電開発部 マネージャーの鈴木成一郎氏(撮影:安蔵 靖志)
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 同社が打ち出すのは、シンプルでリーズナブルながらユーザーの本質的なニーズに応える「なるほど家電」。2017年4月に国内メーカーとしてはいち早くWi-Fiモジュールを内蔵して遠隔操作や見守りを実現したエアコンを発売し、リーズナブルな価格とシンプルながらも “かゆいところに手が届く”機能性や使い勝手の良さでヒットを飛ばした。大手メーカー各社がエアコンの最上位モデルにWi-Fiモジュールを内蔵するようになるなど後追いしたのは、そうしたユーザーニーズをまさに証明したと言えるだろう。

 アイリスオーヤマは2018年1月に冷蔵庫のテスト販売を開始し、同年11月には4K対応液晶テレビの、翌12月にはドラム式洗濯機のテスト販売をスタートさせた。こうして大型家電事業への本格参入に向けて足掛かりを探っており、今回のドラム式洗濯機の本格販売へとつながった。

アイリスオーヤマの大型家電事業の推移
アイリスオーヤマの大型家電事業の推移
低価格をうたうエアコンで、大手メーカーがちゅうちょしていた無線LAN(Wi-Fi)モジュールを先駆けて採用した(図:アイリスオーヤマ)
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 先の通り、ドラム式は日本では乾燥機能まで搭載する洗濯乾燥機がほとんどだ。そうした中、あえて乾燥機能非搭載のモデルを発売した理由について、同社家電事業部統括事業部長の石垣達也氏はこう説明する。

 「開発者やマーケティング担当者だけではなく、ドラム式洗濯乾燥機を利用している当社のさまざまなスタッフにヒアリングしたところ、日常的に乾燥機能を使っている人が少ないことが分かった。緊急時に使うくらいで、大体年に数回程度。年に数回のために乾燥機能を付けて価格を大きく上げるより、お客様が買いやすいリーズナブルさに重きを置いた方がよいのではないかと考え、乾燥機能をあえて外した。ただし、どうしても乾燥機能が欲しい人がいることは分かっており、そちらも開発を進めていきたいと考えている」(同氏)

アイリスオーヤマ 家電事業部 統括事業部長の石垣達也氏
アイリスオーヤマ 家電事業部 統括事業部長の石垣達也氏
(撮影:安蔵 靖志)
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