中国のODM/OEM企業を使えば誰でも「ものづくり」ができる――。そんな風に考えていないだろうか? 実際、クラウドファウンディングなどを舞台に「見たこともなかったような製品」を発表し、羽ばたいていくスタートアップ企業を見ると「誰でもできる」は夢物語ではないようにも思える。

 しかしもちろんそれは真実ではない。そこでこの連載では海外のODM/OEM企業を利用したファブレス形態で、実際に「ものづくり」を成功させた小さな企業の代表者に、小さなものづくりスタートアップの実態や独特のノウハウを、リレー連載形式で語っていただく。

 書き手の1人は国内のものづくりスタートアップの先駆者の1社であるCerevoの創業者で現Shiftallの岩佐琢磨代表取締役CEO(最高経営責任者)。もう1人は低価格大容量のモバイルバッテリーのブームを作った「cheero」に関わり、現在はスマホケース「RAKUNI」をヒットさせているトーモの東智美代表である。

 デジタルガジェットやIoT機器を手掛けてきた岩佐CEOと、スマホアクセサリーがフィールドの東代表。作っているモノは違うが「日本のものづくりスタートアップを盛り上げたい」という想いで意気投合し、この連載に至った。小さな企業のものづくりには、大企業と共通する部分もあれば、異なるノウハウもある。2人が明かす、小さなものづくりスタートアップの「リアルな裏話」に耳を傾けていただきたい。

岩佐琢磨(いわさ・たくま)
Shiftall 代表取締役 CEO
岩佐琢磨(いわさ・たくま) 1978年生まれ。パナソニックでネット接続型家電の企画などに携わった後、2008年にIoT製品に特化したスタートアップCerevoを創業。以降、10年間で30種近いIoT製品を極小ロットで生産し、世に送り出す。2018年4月からは、パナソニックが出資して新たに起ち上げたIoTスタートアップShiftallの代表取締役 CEOを務めている。
東 智美(ひがし ともみ)
トーモ代表
東 智美(ひがし ともみ) 1975年、大阪市生まれ。2009年、Web制作を主要事業にトーモ(東京・港)を設立。実父が代表を務めるものづくり企業、ティ・アール・エイ(大阪市)のスマホアクセサリーブランド「cheero」(http://www.cheero.net/)でモバイルバッテリー製品などの企画や営業、広報なども担当。2016年に自社ブランド「RAKUNI」を起ち上げ、スマホアクセサリーの販売事業を開始した。炎上対策コンサルティングなどを手掛けるMiTERU(https://miteru.site/)の取締役も務める。