企業のITは経営と連動し、競争戦略に直結するものが増えてきた。IT部門に要求されることもより複雑で高度になり、迅速な対応が求められている。本特集では日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が実施した最新の調査結果をまとめた「企業IT動向調査2018」を基に、2018年度の企業ITをめぐる重要テーマを5回にわたって紹介する。
ITを活用して新たな価値を創造したり、業務プロセスを変革したりするビジネスのデジタル化。国内企業でも、取り組みは加速している。
そんな中、企業のITは経営と連動し、競争戦略に直結するものが増えてきた。IT部門に要求されることもより複雑で高度になり、迅速な対応が求められている。
本特集では日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が実施した最新の調査結果をまとめた「企業IT動向調査2018」(概要は末尾)を基に、2018年度の企業ITをめぐる重要テーマを5回にわたって紹介する。第1回はIT投資の動向について解説する。
IT投資の伸びは過去10年で最高
2017年度はIT予算を前年よりも増やしている企業が多い。2017年度の「計画」(調査実施年度の計画値で、当該年度のIT予算の実績値に近い数値)を見ると、回答企業の約半数に当たる51.3%が、16年度よりも増加したと回答している。減少したと回答した企業の割合は21.5%にとどまった。
「増加」の割合から「減少」の割合を引いたディフュージョン・インデックス(DI)値は、17年度計画では29.8ポイント。16年度計画(21.7ポイント)から増加しており、IT投資が活発化している傾向がうかがえる。
2016年度の調査では、2017年度予測のDI値は17.7ポイントだった。それが2017年度調査の結果、2017年度計画のDI値はこの予測を12.1ポイント上回った。この1年で、IT予算の増加を決めた企業が多いことが分かる。
2018年度のIT予算はさらに増加しそうだ。2018年度予測については、全体の40.7%が「増加」、45.5%が「不変」(前年度並み)と回答した。DI値は27.0ポイントと、2017年度(17.7ポイント)を9.3ポイント上回った。この数値は、過去10年で最も高い。