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「井沢君、今日はご苦労さん。もうそろそろ帰りんさいや」
夕方5時半を過ぎると、カオル建設(広島市)の衣川知孝社長は入社2年目の若手社員、井沢圭一氏に声をかける。衣川社長は井沢氏に残業や休日出勤をなるべくさせない方針を貫いている。この時刻になると、本人の机に近づき帰宅を促す〔写真1〕。
カオル建設の社員数は5人〔図1〕。同社にとって、井沢氏は久々に入社した期待の星だ。地元の建築系専門学校に3年間通い、在学中に二級建築士を取得。2017年春に入社した。
「こんなに優秀な子はなかなかいない。ウチにとっては掌中(しょうちゅう)の珠(たま)。大事に育てたい」。衣川社長の言葉の端々に井沢氏への気遣いがにじむ。