PR

 世界レベルのサッカー選手が一堂に会する、4年に1度のスポーツの祭典「2018FIFAワールドカップ(W杯)」。その舞台裏ではいまや、選手やボールを追跡して動きをデータ化するトラッキングシステムなどさまざまな先進テクノロジーが導入され、チームの強化や選手のスキルアップなどに活用され始めている。

 中でも、世界のプロサッカーチームの間で急速に導入が進んでいるのが「GPS(全地球測位システム)デバイス」である。今回のロシア大会でも日本代表に選ばれた独ブンデスリーガ、ボルシア・ドルトムントの香川真司選手や、英プレミアリーグ、レスター・シティFCの岡崎慎司選手らが、“ブラジャー”のようなものを身に着けて練習している映像を見たことがある読者もいるだろう。

選手は、背中の部分にGPSデバイスを入れるポケットが付いたブラジャー型装具を身に着けて練習や試合をする
選手は、背中の部分にGPSデバイスを入れるポケットが付いたブラジャー型装具を身に着けて練習や試合をする
(写真:Catapult)
[画像のクリックで拡大表示]

 「デジタルブラジャー」とも言われるこの装具は、背中の部分にGPSデバイスを固定するポケットが付いている。米国が運営するGPSを含むGNSS(測位衛星システム)や、加速度/角速度センサーなどを内蔵する背中のデバイスが、選手の体の動きを計測する。取得するデータは「走行距離」「走行スピード」のほか、「加速・減速」「体の傾き」など。こうしたデータを使って選手のコンディションを管理し、ケガを減らすのだ。

カタパルトのGPSデバイスのソフトウエア画面例。チームの平均の「走行距離」「1分当たりの走行距離」「ハイスピードランニングの割合」などを表示
カタパルトのGPSデバイスのソフトウエア画面例。チームの平均の「走行距離」「1分当たりの走行距離」「ハイスピードランニングの割合」などを表示
(図:Catapult)
[画像のクリックで拡大表示]

 選手のケガはチームにとって大きな損失になる。大金をはたいて獲得した選手がケガをして投資自体が無駄になってしまうことさえある。例えば米メジャーリーグでは、年間で7億ドルもの費用がケガをした選手の治療などに使われているという調査結果がある。同様の出費は、米プロアメフトのNFLで4.5億ドル、米プロバスケのNBAで3.5億ドル、そしてプレミアリーグでは3億ドルと莫大だ。GPSデバイスの導入はこの損失を減らすための前向きな投資と捉えられている。

 プレミアリーグで2015~2016年シーズンに、“奇跡の優勝”を成し遂げたレスター・シティFC。岡崎選手も在籍するこのチームで、パフォーマンスアナリスト兼スポーツサイエンティストの責任者を務めるPaul Balsom氏は、2017年12月に来日した際の講演で、「我々が優勝したシーズンにはリーグ全体で最もケガ人の数が少なかった。最近ではケガが少ないと勝利数が多いという相関関係も見えてきている」と語った。

レスター・シティFCでパフォーマンスアナリストおよびスポーツサイエンティストのヘッドを務めるPaul Balsom氏。「スポーツアナリティクスジャパン2017」(主催:一般社団法人日本スポーツアナリスト協会、2017年12月2日)で講演したときの様子(写真:浅野智恵美)
レスター・シティFCでパフォーマンスアナリストおよびスポーツサイエンティストのヘッドを務めるPaul Balsom氏。「スポーツアナリティクスジャパン2017」(主催:一般社団法人日本スポーツアナリスト協会、2017年12月2日)で講演したときの様子(写真:浅野智恵美)
[画像のクリックで拡大表示]