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X線/コンクリート内部の鉄筋を可視化

(イラスト:山田 タクヒロ)
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 医療分野のレントゲン写真の“インフラ版”と言えるX線透過法。構造物を挟んで対面に専用フィルムや電子センサーを設置した状態でX線を透過させると、コンクリート内部の鉄筋などの位置を画像で見ることができる。十分な透過能力を発揮するには大掛かりなX線発生装置が必要で、機器の小型軽量化が課題となっている。X線ビームのエネルギーが一定以上の場合は遮蔽の措置や原子力規制委員会の許可、資格者の立ち会いなどを要する。

主な対象:鉄筋位置・かぶり、鋼材破断、グラウト未充填


レーダー探査/埋設物や空洞を広範囲に調べる

(イラスト:山田 タクヒロ)
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 表面から電磁波を入射し、反射信号を取得して解析する手法。異なる物性の境界面で反射する電磁波の性質を利用して、コンクリートの空隙や土の中にある埋設物を探る。電磁波の受発信装置やそれを積んだ車を移動させながら、一度に広範囲を測るのが得意。高周波の電磁波を使うほど詳細な探査ができるが、測定できる深度が浅くなる。コンクリート用に使う小型の装置だと、探査深度は最大1m程度。車でけん引する大型の装置ならば、最大3m程度の深さまで測れる。

主な対象:空洞、鉄筋位置・かぶり、埋設管


中性子/水分の検出や鋼材内部の透視に

(イラスト:山田 タクヒロ)
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 水素やリチウムなどの軽元素を含む物質に対する感度が高い中性子線。これを照射することで、コンクリート中の水分を検出する研究が進んでいる。実際の構造物の点検に適用した例は世界でもまだなく、実用化が期待される。X線と比べて金属に対する透過性が高く、鋼材の内部も透視できる。

主な対象:水、空隙、塩分