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充填調査の結果を2次元画像化

 破壊を伴う検査を非破壊に置き換えるだけでなく、既存の非破壊検査で得られるデータの解析手法を高度化して、評価のばらつきを抑えるための技術開発も進む。

 その好例が、富士ピー・エスが開発した「FITSA(フィッツァ)」だ。コンクリート中にあるPCグラウトの未充填箇所を調査する。従来の衝撃弾性波法で得られる反射波のデータを解析し、グラウト部分の空隙の有無とその位置が分かる画像データとして出力できる。

(イラスト:山田 タクヒロ)
(イラスト:山田 タクヒロ)
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プレストレスト・コンクリート(PC)桁の中から主ケーブルのグラウト充填調査を実施。打撃する地点の近くに、反射波を受信する端子を設置しておく(写真:富士ピー・エス)
プレストレスト・コンクリート(PC)桁の中から主ケーブルのグラウト充填調査を実施。打撃する地点の近くに、反射波を受信する端子を設置しておく(写真:富士ピー・エス)
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 衝撃弾性波法は、コンクリートの表面にハンマーなどで打撃を与えて弾性波を入力。その反射波の周波数スペクトルに、特徴的な成分が表れているかどうかで空隙の有無を判定する。弾性波がコンクリート中にある空隙のような物性の境目で反射しやすい性質を利用した手法だ。

 ただし、検査する対象の大きさや形状によっては、いくつもの反射波が重なりあって複雑な周波数スペクトルになる場合がある。専門家でなければ、わずかなスペクトルの違いから欠陥を正確に判定するのは難しかった。

 FITSAを使えば、視覚的に分かりやすく結果を表現でき、点検者の技量による評価のばらつきを小さくすることが可能になる。