(前回から続く)
2万~3万円とお手頃価格ながら、自動運転技術を搭載する中国メーカーのロボット掃除機を分解している。前回から、中国・小米(シャオミ、Xiaomi)のロボット掃除機「米家掃地机器人」(MIJIA掃除ロボット、掃は簡体字)を分解してきた。今回は、同製品のメイン基板やレーザーを使った測距技術「LiDAR(Light Detection and Ranging)」以外のセンサーについて見ていこう。
スマホを彷彿とさせるメイン基板
残るは2つに分割できた本体のうちの下側パーツだ。メイン基板とファン、配線類を収めている。
メイン基板上の部品を確認していこう。黒色のレジストを使い、部品もグリッド的に整然と並んでいるためか、どことなくスマホなどの小型デジタル機器を彷彿とさせる。主に部品が実装されているのは表面のみで、裏側は小型の部品とコネクターのみだった。
製品紹介サイトによると、3つの独立する処理系回路を備えることで、センシング処理や位置把握、リアルタイムでの地図作成、清掃経路の構築などを行っているとする。3つの主要ICのうちの1つが、中国珠海全志科技(Allwinner Technology)の「R16」だ。Allwinner Technologyは中国の代表的なプロセッサーメーカーの1社である。
R16はCPUとしてArm Cortex-A7クアッドコア、GPUとしてMali 400 MP2を搭載するSoCで、「IoT機器向け」の「スマートハードウエアプロセッサー」としている。2016年11月に発売開始された任天堂の復刻版ファミリーコンピュータ「クラシックミニ」でも採用された(関連記事「上から下まで中国製、IoTの半導体」)。また、単眼RGBカメラを使ってロボットの自己位置推定や地図作成を実現する「単眼visual SLAM(vSLAM)」技術のソフトベンダーには、評価ボードの処理用SoCとしてR16を採用している例もある(関連記事「《日経Robo》日本人が英国で創業したvisual SLAMベンチャー、単眼カメラ型のKudan」)。今回の製品は測距にLiDARを使ったものだが、R16はSLAM処理に向けている可能性がある。