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 自動運転技術を供給するのは、東京大学発のベンチャー企業である先進モビリティ(東京・目黒)だ。トヨタ自動車で自動運転技術を担当してきた青木啓二氏が2014年に立ち上げた会社で、ソフトバンクと合弁でSBドライブを設立するなど、自動運転の商用車開発で実績がある。後続車無人の隊列走行を実現するにあたって青木氏は「重要技術は車車間通信(CACC)と先行車追跡制御(トラッキング)の大きく2つだ」と話す(図2)。

図2 東京大学発のベンチャー企業である先進モビリティ(東京・目黒)代表の青木啓二氏(撮影:日経 xTECH)
図2 東京大学発のベンチャー企業である先進モビリティ(東京・目黒)代表の青木啓二氏(撮影:日経 xTECH)
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 車車間通信のCACC(Cooperative Adaptive Cruise Control:協調型車間距離維持支援システム)は、従来の先行車追従機能であるACC(Adaptive Cruise Control)に加えて、先行車の加減速情報を後続車に“バケツリレー”方式で伝える機能がある。「ACCよりも応答の遅れや車間距離の変動が少なく、無駄が少ない加減速を実現できる」(豊田通商)という。

 先行車の運転者がブレーキを踏んだ瞬間に、最終的に発生する減速度を車両側が推定して送る。後続車は先行車が送ってきた減速度に合うようにブレーキを制御する仕組みだ。先進モビリティの実験によると、先行車が80km/hで走行中に平均減速度「0.6G」の急制動をかけたとき、先行車と後続車の車間距離は一般的なACCでは20.5m縮まってしまう。減速度の推定を導入した場合には2.6mと、車間距離の接近を約八分の一まで抑えられた。

 一定の距離を保つことで車間距離を詰めやすくなる。第1段階の車間距離30mに対して、最新の第3段階では三分の一の10mまで詰めることに成功した。「車間距離が長く、一般車両の横入りによって隊列が分断することがあった」(いすゞ自動車販売執行役員の井口晃一氏)という当初の課題を解消する。「通常のトラック運転者が急制動をかけると20~30m車間距離が縮まる」(青木氏)とし、最新の隊列走行トラックの制動性能は高い。

 車載機器や通信機能を追加することで性能向上を実現した。単眼カメラとミリ波レーダーといった量産車の技術を使った第1段階に対して、3次元LIDAR(レーザーレーダー)やRTK(Real-time Kinematic)方式のGPS(全地球測位システム)を追加している。通信面では、従来までの760MHz帯の通信に加えて、4Gシステムの「LTE」や光車車通信などを組み合わせて三重化。実用化に向けて最適な組み合わせを試す。

図3 テストコースにおける隊列走行(撮影:日経 xTECH)
図3 テストコースにおける隊列走行(撮影:日経 xTECH)
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図4 同ななめ後方から(撮影:日経 xTECH)
図4 同ななめ後方から(撮影:日経 xTECH)
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