全2448文字

 例えば、本当に深刻な様子で相談している人。ブースに分かれてはいるものの、声は漏れ聞こえます。なぜ仕事が見つからないのかという苦悩を吐露する求職者、冷静に自分の価値を考えたほうがよいと諭す職員の話など、人生の縮図を見ている気分になります。自分の今後を思うと、不安が増すかもしれません。

 かと思えば、隣のブースにはなぜか余裕たっぷりの表情の求職者が座っていたりします。そんなに退職金が出たのか、何か金融資産があるのかと妬みや焦りの気持ちが湧いてきます。失業中のつらい時期には、最も見てはいけない部類の人です。

 このように、ハローワークには独特の空気があります。そういうものだということを理解して、自分を見失わないようにしてください。

初回は講習会を受講する

 受給に当たっては、ハローワークで「雇用保険受給者初回説明会」を受講する必要があります。基本手当の受給に関する重要事項についての説明を受けるのですが、①あくまで再就職のための給付であること、②受給期間中に働いたら必ず申告すること、の2項目をみっちり伝えられます。

 筆者が受講したときは「虚偽の申告などについては徹底的に調べます、罰則を与えます」と繰り返し強調され、どれだけ不正申告があるのか疑ってしまったほどでした。虚偽申告の事例としては「求職活動の実績がないにもかかわらず、失業認定申告書にその実績について虚偽の申告をする」「内職・手伝いをした事実や収入を隠したり、偽った申告をしたりする」などがあります。

 次の就職先が決まらず不安な状況でこっそり副業をしても、なかなか集中できない人が多いのではないでしょうか。再就職を目指すなら、退職金のあるうち、失業給付のあるうちに、就職活動に集中したほうがよいでしょう。起業するにしても、会社設立を考えてから登記完了まで2~3カ月はかかりますので、早く活動するに越したことはありません。

 講義を受けたあとに「雇用保険受給資格者証」を受け取り、第1回の「失業認定日」が知らされます。

 最後に、受給できる金額について押さえておきましょう。雇用保険で受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」と呼びます。「基本手当日額は年齢区分ごとにその上限額が定められている」ことだけ理解してください。

 上限額は賃金のおよそ50~80%となってはいますが、基本手当日額の上限が決まっていますので、現在の月収×80%×相当期間分を受給できるとは思わないでください。参考までに基本日額の上限(2020年8月1日現在)を記します。

30歳未満     6850円
30歳以上45歳未満 7605円
45歳以上60歳未満 8370円
60歳以上65歳未満 7186円

 今回は失業給付について見てきましたが、いかがでしたか。40~50代で家計を支えなければいけない人にとっては、失業給付だけでゆっくり転職活動というわけにはいかないでしょう。

 不足分は退職金で補填するという考え方もありますが、本連載で何度も申し上げている通り、再就職する必要がある人はそれが一番危険です。あっという間に退職金は目減りし、受給期間は終わりがきます。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。アネックスのWebサイトはhttp://www.annexcorp.com/