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2. 会社の仕事には会社のPC、転職の連絡には私用のPCやスマートフォンを使う
 プライベートの連絡に会社のPCを使わないというのは、当然のことだと思われるでしょう。しかし退職前に引き継ぎが終わって気が緩み、うっかり簡単な私用メールを会社のメールアドレスから送ってしまうといったこともないとは言えません。

 こうしたちょっとした不正がばれなければ、徐々にエスカレートしてしまうケースが多くあります。「もうすぐ退職するからちょっとくらい大丈夫」という思いもあるからでしょう。

 自己管理が十分にできないようなら、会社メールは「いつ誰に閲覧されても問題がないようにする」ことを意識して使うべきでしょう。例えば筆者の場合、夏期休暇を取得する間は自分のメールがすべて代理の権限委譲者に届くように設定していました。休暇中の情報共有になるだけでなく、気の緩みで公私混同が起こっていた場合、それを強制的に発覚させられます。あえてこのような仕組みにすることで、情報管理を徹底していました。

3. 退社が決まったら自分のメールをすべて上司や後任者と共有する
 退職の申し出をして受理されたときから最終出社日までは、通常1~2カ月程度の時間があるでしょう。退職日が決まったら、自分が送るメールのCCに上司と後任者を入れるようにしましょう。

 同業他社に転職するケースでは、自分がどんなに注意を払って規定を守っても、情報の持ち出しのように見られてしまう可能性があります。それは気分が良くありませんし、新天地での仕事にも悪影響を与えそうです。退職前に限りなくオープンな状態で周囲と情報共有し、正々堂々と退職日を迎えるのがよいのではないでしょうか。

 先ほど取り上げたソフトバンクからの情報持ち出しの一件が、どのような経緯と状況で行われたか報道以上のことは分かりません。ただし冷静に考えてみれば、同業界、同業務で過去の情報を活用すれば、転職後に正当な仕事をしたとしても、前職で得た情報で活動していると疑われてしまうことは容易に想像できたのではないかと思います。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。アネックスのWebサイトはhttp://www.annexcorp.com/