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 少なくとも筆者は、タカさんが英語を話したり、英語のメールを書いたりするところを見たことがありません。SNSの英語の紹介文も、ネット翻訳サービスを使って作った可能性が高いと思っています。しかしSNSでタカさんに初めて接した人には、英語を使いこなせる人に見えるでしょう。

 そこには、その場の人間力勝負でバイヤーをしていたかつてのタカさんの姿はありません。2021年風にいえばDX(デジタルトランスフォーメーション)によって最先端のECを推進しているエキスパートにしか見えません。

掛け算する材料を人事異動で習得

 誰もがタカさんを目指すべきだとはいいませんが、この掛け算の考え方は参考になると思います。「転職を考えたとき、今の自分のスキルに何を掛け算したらよいか」を一度考えてみてはいかがでしょうか。

 一人で考えるのではなく、第三者に尋ねるのがお勧めです。例えば、転職エージェントからのフィードバックは役立つでしょう。一度話をしただけの転職エージェントからはそんな助言は得られないでしょうが、100人の人材エージェントに会えば3人くらいは価値観が合う人が見つかるはずです。良好な関係を築けば、温かく冷静なアドバイスをくれるでしょう。

 取引先との付き合いがある人は、取引先の人に聞いてみるのも一つの手です。社内の同僚にはない視点で意見をもらえるでしょう。人事異動によって新たな掛け算の材料が身につきそうであれば、異動を画策する方法もあります。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。アネックスのWebサイトはhttp://www.annexcorp.com/