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 コロナ禍が長引く中でも、意外に転職市場は活性化している。転職エージェントのモリさん(仮名)に会って、そんな話を聞きました。

 しかし詳しく確認してみると、活性化している分野は限られるようです。特に未経験者は厳しいとのこと。例えば少し前までは、IT分野で未経験可の求人も多く見かけましたが、今や一から人を育てる余裕がある企業は限られているというのが現実です。

 では、今の転職市場で人気なのはどんな人材なのか。モリさんによれば「A×Bと、2つの経験の掛け算ができる人材は早々に内定が出る」そうです。

 代表例が、リアルビジネスとITの掛け算ができる人材。IT以外の何らかの事業に詳しく、さらにIT活用の知見も豊富な人は引く手あまたです。

 このほかにも「発注側×受注側の両方の内情が分かる人」「コンサルタント側とコンサルティングを受ける側の状況が分かる人」などがあります。このように、複数の知見を併せ持つ人材は転職に強いといえます。

独学で身につけたIT知識を掛け算

 掛け算ができる人材の具体例が、本連載で以前紹介したバイヤーのタカさん(仮名・50代)です。

 10回の転職を重ねたタカさんですが、ここしばらく全く「転職」とは言い出しません。筆者に転職の相談もありません。

 タカさんはかつて、“人間力勝負”とでもいうような根っからバイヤーでした。仕事の成り行き上独学でITの知識を身につけたことで、バイヤー×ITの掛け算によってEC(電子商取引)のエキスパート(のように見える)人材になりました。今では、EC関連のイベントでゲストスピーカーとして引っ張りだこです。

 それほどの活躍を見せているのに、心配性のタカさんは「次に何を掛け算したらよいか」と聞いてくる始末。そのとき筆者は「英語」と、適当にアドバイスしておきました。

 しばらくしてタカさんの「LinkedIn」ページを見てみると、自己紹介からコメントからすべて英語で記載されていました。LinkedInだけでなく、SNSはすべて英語になっています。