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 会社が用意した転職・企業支援プログラムを受ける人たちが通う、“転身部屋”。前回は、転身部屋行きの対象となりやすいのはどんな人かについて取り上げました。今回は、転身部屋の1日を見てみましょう。

 対象社員の対応や転身部屋の管理は、人材派遣会社などの社員が担当するケースが多いでしょう。人事部はもう出てきません。

 部屋の雰囲気も、これまでのオフィスとは異なります。イメージとしては、塾の一室を思い浮かべていただけるとよいでしょう。ホワイトボードと机・椅子のセットが20組くらい、教務担当の座る事務スペースが2人分くらいあります。

 明らかに今までと何かが違う、やはり会社に捨てられたのではないか。この時点で、不安や憤りが膨らみます。「こんなはずじゃなかった」と怒りの声を上げる人もいます。

 外資系企業では多くの場合、こうした転職支援は退職後のサービスとして提供されます。つまり在職していた企業とは既に縁が切れているため、怒りの持って行きようがありません。

 しかし日本企業の場合は、退職前から転身部屋に通うケースがあります。しかも何カ月ここにいるのかも分からずに、人事異動で転身部屋に行かされる人もいます。「結局会社に残れるのか、残れないのか」というゴールも曖昧で、何としても転職先を見つけるべきなのかそうでないのかも定かではないので、たまったものではありません。最近ではこうした問題は改善されてきているようですが、完全に解消されたわけではないでしょう。

 元の職場の同僚に相談しても、「会社の財務が立ち直れば、1年もすれば戻ってこられるから」などと、思いつきの慰めを送ってきます。仕方ないので、与えられた机につき、共有PCでハローワークや人材紹介サイトで求人探しを始めます。

 そして、ショッキングなWebページを見つけることになります。自社の中途採用ページです。

早期退職者募集の一方で中途採用

 最近は業績不振に陥った企業だけでなく、黒字企業の早期退職・希望退職制度がずいぶん実施されています。早期退職者募集のような緩やかな施策にとどまらず、リストラを断行しているような企業でも、その一方で積極的な中途採用を行っているケースが非常に多く見られます。退職勧奨をされている人が、転身部屋への異動後にそれを発見することが意外にあるのです。