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 早期退職者の募集や社内の配置転換などのニュースが相次いでいる製造業。年配社員と話すと、よその業界をうらやむ声を聞くことがあります。

 しかし実際は、どの業界も大変なようです。今回は、大手銀行の事例を紹介します。40~50代の読者が大学を卒業した頃は、「金融工学」の名前に引かれて、多くの理系学生が銀行に就職していました。理系の就職ランキングでも、銀行や商社などの大手金融機関が上位に並んでいました。

 入社当時に花形だった金融機関の50代は、今どのように過ごしているのでしょう。

40代後半には関連会社に出向

 銀行では、40~45歳の間に7割ほどの行員が関係会社に出向、転籍となり、最終的には転籍先で会社員人生を終えることが多いと言われています。45歳を過ぎると、研修での言動や第三者の評価を参考にしながら、それまでの評価や全体の人員配置などを検討して、本社に残す人が決まります。その後は50歳をめどに人事異動があり、出向先を言い渡されます。

 これは30年前からあまり変わっていません。筆者は新卒で保険代理店に就職しましたが、40代後半以降の人が銀行から保険代理店に出向してきて、今まで想像したこともなかった保険商品の販売を始める様子をたくさん見てきました。それまでの経験と関係なく、突然新しい仕事を一から始めなければならないのは大変だなと感じていました。

 出向先では、社内の申請手続きや会議の仕方1つとっても今までの常識が通じず、新しい常識をいやが応でも受け入れざるを得ない状況があります。「大企業の常識を捨てなさい」ということなのでしょうが、常識や習慣を捨てる、変えるというのはなかなか難しいことです。

出向先がAIによってなくなる

 さらに、その状況が最近の事情では過酷になってきたようです。45歳以降になっても、以前のような出向先がなくなってきたというのです。影響しているのがAI(人工知能)です。

 分かりやすい例に、ローンの審査があります。以前は住宅ローンやフリーローンなど、行員の目で書類の確認や審査をしていました。それがIT、そしてAIの活用によって、申請はネットで可能になっています。そして融資の可否の審査も、ある程度はAIによってできてしまいます。