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 転身部屋には、そんなときに同じ目線で慰めてくれる同僚がいます。現役最前線で元気に働いている同期生からいくら慰められても、救われた気がしません。同じようにお祈りメールを受け取っている仲間がいれば、「自分だけじゃない」と前を向くことができます。

「転身部屋の運営スタッフになりたい」と言い出す

 転身部屋での生活が3カ月、4カ月と続くと、転身に明るい未来が見える組と見えない組とに何となく分かれてきます。この時期に見えない組から転身部屋の運営スタッフに対して出てくる質問が、「転身部屋運営の仕事に就くにはどうしたらよいですか?」というものです。

 運営スタッフと時間を共にすることで、その仕事の内容や処遇が何となく分かってくるのです。必死で次の仕事を探している状況で、最も近くにいる運営スタッフに関心を持つのは当然でしょう。

 筆者も運営スタッフを務めたことがありますが、実際にこうした相談を受けました。こうした人は、必ずと言っていいほど「私も、あなたのように人の転身を支援する仕事に就きたい」と話します。

 そう言ってもらえるのはありがたいのですが、転身部屋の運営はなかなか大変な仕事です。不景気な状況の中で、場所を変えながら転身部屋を開設し、転身を目指すさまざまな人と付き合うのは体力的にも精神的にもかなりの負担がかかります。

 筆者はそれを正直に伝えつつ、従来の転身活動に集中することをやんわりと勧めていました。それでもやりたいと言うかどうか、本気度を見極めるようにしていました。

 転身部屋の運営はキャリア支援の仕事です。その魅力や重要性を見いだしてくれたことはうれしいのですが、キャリア支援を受ける側と支援する側では見える景色は大違いです。そのことは理解しておくほうがよいでしょう。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。アネックスのWebサイトはhttp://www.annexcorp.com/