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採用面接時の感染にも注意

 エンワールド・ジャパンの調査では、新型コロナウイルスによる中途採用活動への影響について、「今後もっとも懸念していること」も尋ねています。「社員から候補者、候補者から社員への感染リスク」「感染が発生した場合の企業の風評リスク」と回答した企業が多くありました。人事としては、企業防衛の点にも関心を持っているということです。

 応募者としては、面接日程が組まれた場合はしっかり体調を整え、印象面で誤解を受けないようにする必要があります。せき1つしても、顔色が少し悪いだけでも、面接官は気にするかもしれません。体温測定や手洗い・消毒、外出時におけるマスク着用など、できるだけの予防はしておいた方がよいでしょう。

 面接中にせき払いを数回したら、今の状況では面接官の関心がせきに向いてしまうかもしれません。それによって、大切なことが聞き逃されてしまう可能性があります。面接官が「面接を早く終えよう」と注意散漫になってしまう場合もあるので、面接当日までの体調管理には注意が必要です。

 この時期は、花粉症などでくしゃみやせきが抑えられない人もいるでしょう。そうした場合は事前に伝えておけば、企業側も安心して面接できるのではないでしょうか。

 企業側でも、リスクを抑えるための対策を強化しているようです。エンワールド・ジャパンの調査では、面接での感染対策の第1位は、外資系・日系企業ともに「採用面接・面談をオンライン化」、第2位は「採用面接・面談にマスク着用を義務付け」でした。

3~4月はただでさえ人事の多忙期

 もう1つ押さえておきたいポイントがあります。3~4月は、もともと人事の繁忙期であることです。

 人事担当者は、新入社員の受け入れ準備や研修、トレーニング担当の社員のアサインなどの業務に追われています。組織変更や昇格、人事異動の対応もあります。採用業務専任の社員がいる会社でもなければ、採用にはあまり労力を割けません。

 その上、新卒採用に関するスケジュールの再調整まで発生しては、中途採用が影響を受けないとは言えないでしょう。当然、採用の抑制も起こる可能性があることは理解しておいた方がよいと思います。

 最後に、19年の災害や消費税増税、環境問題、そして今回の新型コロナウイルスの問題を受けて、採用意欲はずいぶん変わってくると考えられます。外資系企業では、注力する拠点(国)を20年4月の新年度に向けて見直し、事業計画と一緒に発表する企業も増えてきました。日本よりも他のアジアの国に注力する企業がさらに増加する可能性は否定できません。

 「先行き不透明感な今だからこそ転職する」という判断ももちろんあると思います。一方で、景況感を見て保留している方もいるでしょう。いずれにしても、社会人の生き残り手段の1つとして、転職スキルが必要になってきた時代だと言えると思います。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。