転職は人生における大きなイベントです。本人だけでなく、家族の生活も多少なりとも影響を受けます。特に影響が大きいのが、金銭面です。
求人サイト運営などを手掛けるビズヒッツ(三重県鈴鹿市)が2021年3月26日、転職経験のある夫をもつ既婚女性500人を対象に実施した「夫の転職に関する意識調査」の結果を公開しました。この調査では、夫が転職して困ったことを尋ねています。
ダントツで多くの回答を集めたのが「収入の減少」(137人)です。3位の「無収入の期間ができた」(75人)、7位の「収入が不安定になった」(15人)と、収入に関する選択肢はほかにも上位に来ています。
収入とは直接関係はありませんが、4位の「引っ越し」(45人)、6位の「保険や税金の手続きが面倒」(25人)もお金に関係します。転職にまつわるお金の心配は、家族にとっては当人以上に気になることなのでしょう。
筆者は10回の転職を経験していますが、やりがいや仕事の面白さを優先して転職先を決めていました。年収増は求めておらず、むしろ1割減までは許容範囲にしていましたが、妻にしてみれば受け入れがたいことだったかもしれません。
このように、転職活動をする本人は年収以外の条件を重視することがあります。もちろん本人の意向は大切ですが、それによって大幅に年収がダウンするようでは家族の生活が大きな影響を受けるでしょう。家庭内の不和を招き、本人にとっても不本意な結果に終わる可能性があります。
ここからは、知っておきたい「転職による年収減」について解説します。転職の失敗で一家が苦境に立たされることのないよう、本人だけでなく家族も知識をつけておくことが重要です。
賞与の割合が高い企業は要注意
まずチェックしたいのは賞与です。会社によっては、転職1年目の1度目の賞与は受け取れません。「賞与は基本給の2カ月分+α」といった企業の場合、そのインパクトはかなり大きいものになります。
転職先になじめず早期離職することも考えられます。2度目の賞与を待たずして退職した場合、その年は1度も賞与を受け取れません。年収は当初の想定を大幅に下回ることになるでしょう。
筆者がお勧めしたいのは、「年間給与に占める賞与の割合がなるべく低い会社を選ぶ」ことです。年間給与の12分の1を毎月支給する、または賞与ではなく年間給与の一環という扱いで1年に2度支給するなど、年収が固定されている会社を選ぶと安心です。業績連動で加算される報酬は、あくまでおまけと考えましょう。
もう1つ注意したいのは、給与の支払日です。締め日と支払日によっては、入社後しばらく給与を手にできないことがあります。筆者自身、当月15日締め・25日支払いが当たり前だと思って転職したら、その会社は当月末締め・翌月25日支払いでした。入社した月は給与がなく、給与を生活費に充てることができませんでした。
支払日のような細かいことについて、転職を控えて慌ただしい本人は気が回らないかもしれません。家族が処遇だけでなく支払日もチェックしておくとよいでしょう。