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 本コラムで取り上げてきた早期退職や転職、企業のロールモデルは、95%がノンフィクションです。紹介した人々は、さまざまな形でどんどん活躍の場を広げています。

 ヒゲさん(仮名・50代)も、その1人です。ある有名企業を早期退職して海外移住したもののコロナ禍で帰国し、職探しに奔走した話を以前ご紹介しました。そのヒゲさんが先日筆者のところに遊びに来たのですが、その進化の様子は目覚ましいものでした。

 ヒゲさんのここ3カ月ほどの行動を分析しましたので、お役に立てていただけると幸いです。

人に言われたことはとにかくやってみる

 ヒゲさんの希望は「動画制作の講師をして、将来的にはアーティストのライブ配信を手掛けたい」というものでした。どうすればよいか筆者も相談を受けましたが、プロではないので的確な助言はできません。ただ「自分ではできないけれど、もしかしたらヒゲさんの役に立つかもしれないな」と感じたことを思いつくままアドバイスしました。

 具体的には以下のような内容です。

  • 動画制作の講師ならばYouTubeに動画がないと信用されない。まず動画をアップすべし
  • 講演実績、著書がないと講師として売り出すのも大変。まずは、カルチャースクールや講師マッチングサイト、大学の社会人向け講座などに自分を売り込む
  • 動画制作をするなら機材をそろえるのは当然のこと、動画編集ソフトもマスターすべし

 アドバイスをしてから3カ月、ヒゲさんから「東京に行くから会わないか」と連絡がありました。状況を聞いたところ、すべてやり遂げたというのです。筆者のような素人の言うことを3カ月かけて真面目に実践していました。

 これを転職活動に置き換えてみると「まずは知人に会いに行く」「履歴書を書く」「人材紹介会社に登録する」といったアドバイスを受けても、行動に起こす人は多くはありません。ヒゲさんのバイタリティーは素晴らしいと思います。

3回くらい心が折れてもまず形にする

 アドバイスを素直に実践するという第1の難関を突破したヒゲさん。しかし次は、実績が出なくても心折れずに続けるという第2の難関にぶつかりました。

 動画講師として動画をアップしたにもかかわらず、再生回数は3回、40回など振るわない結果。YouTubeへの動画アップを始めたばかりではよくある話です。