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 ①のジョブは、働くことでお金を得ること。②のキャリアは、働くことを通して自己実現を達成すること。そして③のコーリングは、仕事を通して社会と関わる、社会貢献することを指しています。

 何のために働くかと問われたら、まずは生活の糧を得るためでしょう。ただそれだけでなく、働くことを通して自分を高めたいと多くの人は考えます。社会人になって10年ほどすると、自己のキャリアを考えたり専門分野を選択したりするのは自然なことです。

 さらにステップが進むと、仕事を通じて社会と関わりたい、社会の役に立ちたいという思いが強くなります。定年退職した人がシニアボランティアとして庭木の手入れや公園清掃などに携わるのは、この欲求によるものだといわれます。

 これを踏まえると、働くことは収入を得ることだけではありません。仮にお金が十分にあったとしても本当に働かずにいられるとは限らないのです。

 FIREを達成した後も、社会との接点を持つ方法は「働く」ことになるのではないでしょうか。働くことから逃れるためにFIREを目指す人こそ、そのことを頭に置いていただければと思います。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。アネックスのWebサイトはhttp://www.annexcorp.com/