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 すると面接官から「では今、何かジャグリングをやってもらえませんか」と言われたのです。応募した仕事には全く関係がありませんし、普通に考えれば圧迫面接のはるか斜め上をいく“無茶ぶり”です。しかし、景気の悪い時期に早く転職したいと考えていた私に断れるわけがありません。

 ジャグリング道具などもちろん持っていませんので、その場にあったホワイトボードマーカーを3本手に持ち、空中に放り投げては受け取る動作をしました。「わざと無茶なリクエストを出して柔軟性を見ているんだろう」と脳内で言い聞かせ、一生懸命実演しました。しかし後日、不採用の連絡がありました。

「趣味の話で盛り上がった」のに不採用

 人材エージェントに聞いてみたところ、その企業は「いい人がいれば」といった緩めの通年採用を常時実施していたそうです。筆者は、その「いい人」の要件には合わなかったわけです。ジャグリングの技術が未熟と判断されたかどうかは、今も分かりません。

 もしかしたら、面接の最初の5分ほどで筆者の不採用は決まっていたのかもしれません。しかしそのまま面接を終了するのはあまりにも短過ぎるという判断で、ジャグリングを要求された可能性があります。

 筆者は今、企業に対する面接指導もしていますが、面接は最低何分間実施するといった原則を設けています。全く条件を満たしていないなど不採用が早々に決まった人も、あまりに短時間で面接を打ち切ると企業イメージが悪くなるためです。「趣味や仕事以外の共通の話題で面接官と話が盛り上がった。なのに不採用だった」という場合は、このケースに該当する可能性があります。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。