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 帰宅後に家族にこの話をすると、実は家族もタマさんのアルバイト生活に思うところがあったと分かりました。妻は「近所の人は前職の会社名を知っているから早期退職だと分かっているはずだけど、ちょっと同情的な言葉をかけられている」とのこと。「悲観はしていないけど、変に気を遣われると面倒ね」と冗談めかして話します。

 大学生と高校生の息子たちからは「アルバイト自体はいいけど、通学路沿いからは少し離れた場所にしてほしかった」と言われました。父親が会社を辞めてアルバイトをしているという話を仲間にしたところ、勤務先のコンビニが通学路の途中ということもあって話がじわじわ広がっているのだそうです。中には心配してくれる同級生もいて、居心地が悪いとのこと。

近しい人に意見をもらう

 こうした話は、筆者が個人で手掛けているキャリアアドバイスの場でもよく話題になります。退職したものの「何もしていないように見えるとみっともない」と思い込んでしまい、毎朝同じ時間にクルマで出かけている人。退職したにもかかわらずスーツをきちんと着て家を出て、カフェなどで過ごしている人もいます。特に地方は都会に比べて他人の目を気にする傾向があり、退職後に悩んでいる人が多いと感じます。

 筆者は、退職後も人の目など気にせずご自身の希望通りにするのが一番だと感じています。タマさんが傷ついた「やはり仕事見つからないの?」というひと言も、同僚は軽い気持ちで口に出しただけだったでしょう。そんな言葉を気にしすぎて、自分が望ましいと思った働き方を変えてしまうのはもったいないのではないでしょうか。

 ただし、家族など近しい人たちとは退職後の生活について意見をもらったほうがよいでしょう。今回も、勤務先を生活圏から少し離れたコンビニにすれば、より家族の理解が得られたと考えられます。丁寧に周囲に説明や相談をしておくことで、自分が働きやすい環境を見つけやすいと思います。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。アネックスのWebサイトはhttp://www.annexcorp.com/