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「一括返済」には要注意

 金額はさておき、早期退職したら退職金が手に入ります。急に大金を手にした人が、冷静さを失って大胆なお金の使い方をしてしまうことがあります。

 よくあるのが、ローンの「一括返済」です。代表例が住宅ローンです。もちろんご自身が納得した上で返済されるのでしたら全く問題はありませんが、中には大金を手にして冷静な判断ができなくなる人がいます。

 既に子供が独り立ちしているなど、これからあまり支出がなさそうだと思われる状態が要注意です。「老後に向けて背負っているものは住宅ローンのみ、だからすべて払ってしまおう」と考えてしまうようです。

 ただし、本当に一括返済するかは慎重に考えた方がよいでしょう。住宅ローンについては、ローンの借入時に団体信用生命を契約しているケースがほとんどでしょう。本人にもしものことがあっても、残りの住宅ローンを填補してくれます。

 筆者としては、継続して支払いができるのなら無理に一括返済する必要はないと考えています。一括返済した場合、手元に現金があまり残らなくなってしまう状況は避けた方がよいのではないでしょうか。

 仮に住宅ローンの残債1000万円を一括返済して手元にほとんど残っていないケースと、1000万円が銀行口座にあって月々10万円ローンを払う場合と、どちらの方が気持ちに余裕があるでしょうか。将来支払いができるかという不安もあるとは思いますが、そのために手元資金が乏しくなるのは考えものです。

 悩んだら、ファイナンシャルプランナーに今後の収支計画を立ててもらうことをお勧めします。いきなり見知らぬ相手に相談するのはハードルが高ければ、勤務先の紹介を受ける、グループ会社にそういったサービスを提供しているところがないか探すといった方法があります。

 退職前は、在職企業のサービスをフル活用する最後のチャンスです。既に退職日は決まった、引き継ぎも終わりそうだといったときこそ、受けられるサービスを探してみるとよいでしょう。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。