全2742文字

 なお参考までにお伝えすると、人材エージェントも転職希望者のレベルによって会う場所を変えることがあるようです。優秀人材像の「松」クラスはホテルやレストランの個室を借りて面談。これに次ぐ「竹」クラスは、テーブル間のスペースがある程度広いホテルのカフェを使います。

 「梅」の場合、1杯200円のチェーン系カフェで面談するケースもあります。しかしこれでは、先ほど説明したように会話が周囲に漏れてしまいます。ですから常識的な人材エージェントであれば、最初は「自社にお越しいただけませんか」というアプローチをすると思います。

同僚との会話、活動が順調なときほど要注意

 最後に注意すべきは、仲間。現職の同僚です。どんなに仲が良い同僚にでも、転職が決まるまでは基本的に転職活動のことを話してはいけません。

 何げない会話からばれることもあります。人間の面白いところで、転職活動がうまくいっているときほど要注意です。順調に進んでいる余裕から、「こんな会社なんていつでも辞めてやる」など転職をにおわす発言が多くなります。自分では意識していなくても、周囲は違和感を覚えるものです。

 そういった言動が、上司の耳に入ることもあります。部下に辞められては困るということで、辞められないようにこっそり対抗措置を取る上司もいるようです。その結果、人事異動が発令されることもあります。

 現職が嫌で転職活動していたのに、「新天地で期待されているぞ」と言われると、「そうか、自分は期待されているのか」と気持ちが変わるものです。応募先から内定をもらっていたにもかかわらず、内定辞退の申し出をする転職者も少なからずいるそうです。

 この場合は従業員のモチベーション向上のための人事異動であり、必ずしも転職を理由とした嫌がらせというわけではありません。会社によっては、本人が望んでいた部署に異動させて転職を思いとどまらせることもあるようです。人事異動を機に本人がより仕事に打ち込めるようになるなら、転職せず現職にとどまる手もあるかもしれません。

 以上、転職活動が会社にばれないようにするためのポイントを記してきました。会社ではなく「家族にばれない」という視点でも参考になるかもしれません。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルティングを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。