さらに「選択能力ユニット」として、職務別に求められる能力も列挙されています。製造管理に携わる人に求められる「製品開発」を見ると、レベル3と4のマネジャーには以下のような能力が記されています。
①製品開発に関する計画・企画 | ○自社の経営方針を正しく把握したうえで、製品開発を常に意識しながら担当職務の遂行をしている。 |
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○製品開発に必要な基本コンセプトを理解するとともに、現実の諸問題や諸事例に対する情報を整理して検証を行い、組立部門の立場から提案している。 | |
○製品開発について、社内外の関係者との報・連・相をもとに現状の課題発見や優先事項を組立部門の立場から検討している。 | |
○自社製品ラインアップの広さ・深さを理解したうえで、製品ラインと採算性との関連を踏まえた製品開発への意見具申を行っている。 | |
②製品開発業務の推進 | ○製品開発部門と共同作業において、組立部門の代表として参加し、情報の発信・提供を行っている。 |
○製品開発において、組立部門の業務から得たノウハウを製品開発に活かせるための情報を整理し、共同作業を行う他部門に正確に伝え、活用している。 | |
○製品開発のための共同作業において、組立のしやすさ、組立コスト・ダウンなど、組立業務を意識した意見をもち、共同作業の場で自分の意見を主張している。 | |
○製品開発の際に、組立部門の生産能力に関する情報を正確に伝え、生産部門を顧慮した適正な製品開発が行われるように努めている。 | |
③成果の評価 | ○自社の経営方針に沿った製品開発が行われたのかフォローアップを欠かさず実施し、製品開発における役割と効果について組立部門の立場から評価し、改善のための材料をストックしている。 |
○開発に参加した製品を実際に生産する段階において、開発の際に伝えた情報や、提案した意見などについて検証を行い、その結果を開発部門にフィードバックするとともに、次期の開発への組立部門からの提案に活かしている。 | |
○組立部門の立場から製品開発における問題点や今後改善すべき点を整理し、社内関係者や関係部門などに対して積極的に提言している。 |
これらをすべて満たすべきだと言いたいわけではありません。これを基に「該当業種のマネジャーに求められる能力とはどんなものか」を理解し、現在の自分の実力を客観的に把握することが大切です。
これができていれば、面接でいろいろな質問を受けても慌てずに対処できるでしょう。自信のある内容は具体的に答えられますし、現職で求められてこなかった能力について問われたらそのことを正直に話し、入社後にスキルを磨く決意を述べればよいでしょう。
なお、職業能力評価基準で定義された内容がすべてクリアできたとしても、配属されたチームの部下と信頼関係を築き上げられるかは別問題です。実際はそれが最も大切で手間がかかることを忘れている人がいるのも事実です。
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
