セミナーへの登壇が宣伝材料に
オンラインセミナーへの登壇は、転職をはじめご自身の有効な宣伝材料になるでしょう。
企業の求人に応募すると、先方の人事部などはほぼ間違いなく個人名でネット検索すると考えてよいでしょう。この場合、ご自身の氏名でヒットする仕事関連の実績情報は多いに越したことはないと考えられます。
登壇履歴も多いほうがプラスに働くでしょう。小規模なイベントだとしても、会社を代表して語ったという実績は、採用企業が人物を判断する材料になります。
登壇したという事実だけでなく、話した内容が残ることも少なくありません。映像が公開されるほか、記事として発信されることも多くあります。講師として不慣れでも、記事になるときには「きちんとした」内容にまとめてくれるものです。
こうなると、自分から行動を起こさなくても、転職の誘いが舞い込むかもしれません。放っておいても自己宣伝ができるオンラインセミナーに登壇しない理由はないでしょう。
「自分は話し下手だから」という人がいますが、実はオンラインセミナーによる講演では話の上手下手はあまり問題になりません。内容が旬かどうか、役に立つかどうかが聞き手の満足度を左右しますので、印象や話し方は気にせず引き受けましょう。
なおセミナーへの登壇は転職だけでなく、他の講師陣とのネットワークが構築できる、商談やノウハウの共有につながるといったメリットもあります。最近では、自分の部下がオンラインセミナーに登壇したことをネットで知る上司も多いようです。気負いすぎずにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ネット検索すると講演履歴がずらり
最後に、本連載にもたびたび登場しているEC(電子商取引)業界勤務の55歳、タカさんの話を紹介しましょう。
会うたびに「もっと面白い仕事はないか」と筆者に愚痴をこぼしているタカさん。筆者は5年ほど前から、セミナーへの登壇を勧めてきました。
それが大成功しています。リアルとネットの物流を熟知していること、現在の所属企業が時流に乗っていることから注目され、今やクラウドやサプライチェーンなどのセミナーに引っ張りだこです。本人の名前でネット検索すると講演履歴がずらりと並びます。
ECの黎明(れいめい)期、ネットに理解のない社内を説得したり、なかなか軌道に乗らない事業を続けたりとタカさんは苦労を重ねてきました。その中で蓄積したノウハウが世間に認められ、筆者もとてもうれしく感じています。
先日久しぶりにタカさんに会ったところ、「最近、いろいろな企業からオファーが多くて」とのこと。今回は珍しく愚痴が聞かれず、今の仕事の面白さや、社内外から頼られていることの充実感を語ってくれました。50代になってから時代の寵児(ちょうじ)となったタカさんは現在の会社に本当に満足しているようです。次は定年を迎えたころ転職したいと相談がくるのかもしれません。
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
